講演情報
[P20-8]X連鎖バリアントの解釈におけるACMG/AMPガイドラインの改訂の必要性
○井上 陽子1,2, 町田 修1,3, 山本 俊至1,2 (1.東京女子医科大学大学院 先端生命医科学専攻 遺伝子医学分野, 2.東京女子医科大学 ゲノム診療科, 3.東京女子医科大学 小児科)
【はじめに】2015年に発表されたACMG / AMPガイドラインは、ゲノム医療で発見される生殖細胞系列バリアントの評価に広く利用されている。 ただし、解釈に曖昧性があり、疾患特異的なガイドラインをさらに個別に作成することが提唱されている。我々は、X連鎖(XLR)疾患に関連する遺伝子におけるバリアント評価が顕性・潜性遺伝形式(AD・AR)のバリアントよりpathogenic/likely pathogenicと判定し辛いことを経験しており、バイアスの有無を確認するため2015年以前に疾患関連として報告されたバリアントの再評価を行った。【方法と結果】ACMG / AMPガイドラインの影響を受けない2015年以前に疾患関連として報告されたバリアントについて、AD/AR/XLRそれぞれ100以上再評価したところ、XLRバリアントではpathogenic/likely pathogenicと判定されないものが有意に多かった。架空のPS/PMスコアを付与しても有意差は解消できなかった。【考察】ACMG/AMPガイドラインではADにおけるde novoバリアントはPS2を付与され、ARにおけるhomologous alleleバリアントはPM3が付与されるのに対して、XLRはその遺伝形式特有のスコアがない。このことはXLRバリアントがpathogenic/likely pathogenicと判定されにくいことに繋がっている。XLRバリアントを評価する場合、XLR遺伝形式に従って男性でのみ同定されたかどうかで新たにスコアを付与すべきではないかと考えた。