講演情報

[P21-4]難治性てんかん、光、音過敏を呈したDNM1L変異の1歳男児例

松本 歩1, 津田 英利1, 池田 尚広2, 宮内 彰彦2, 橋口 万里奈2, 門田 行史2, 轡田 行信1, 渡邊 和寿1, 村松 一洋2, 小坂 仁2, 岩本 禎彦1, 山形 崇倫2 (1.自治医科大学 医学部 人類遺伝学研究部, 2.自治医科大学 医学部 小児科学)
DNM1L(Dynamin 1-like)はEncephalopathy, lethal, due to defective mitochondrial peroxisomal fission 1の原因遺伝子で、細胞分裂過程で膜のリモデリングを仲介するGTPaseファミリーに属し、ペルオキシソームやミトコンドリア分裂に重要な役割を果たす。症例と結果:1歳男児。-2.9SDの小頭あり。生後2か月から上肢を瞬間的に伸展させるミオクロニー発作と、光や音への過敏反応が出現した。5か月から数秒から数十秒間眼球上転し上肢を伸展する強直発作およびスパスムを反復した。頚定が不安定になり退行した。追視あり、抗重力運動少なく、筋緊張低下あり。腱反射亢進なし、足関節拘縮あり。頭部MRIで髄鞘化遅延、両側淡蒼球のT2高信号、前頭葉のくも膜下腔の拡大あり。血算、生化学、アミノ酸、乳酸、ピルビン酸値に異常なし。両親に同意を得て行ったエクソーム解析でDNM1Lde novoでヘテロ接合性に新規変異のc.1277T>G,p.(Phe426Cys)を検出した。病因予測ソフト、アメリカ臨床遺伝学会のガイドラインではpathogenicと評価された。線維芽細胞に、F426C-DNM1L、既報のA395D-DNM1L、WT-DNM1LおよびPeroxisome-EGFPをトランスフェクションし、ペルオキシソームの発現解析とミトコンドリア染色を行った結果、F426C、A395Dではペルオキシソームの腫大、F426Cでは細く伸長したミトコンドリアを認めた。考察: F426C変異はpathogenic変異と考えられた。DNM1L変異報告30例中14例がてんかん発症し、ミオクロニー発作8例、焦点発作7例、全般発作4例、spasm3例、欠神発作1例であった。ミオクロニー発作は本症の特徴と考えられた。