講演情報
[P24-1]遺伝子パネル検査でジェノタイプが確定したパラガングリオーマ
○小杉 理英子1,2, 早房 良2, 中上 瑛里加2, 齋藤 洸平1,2, 米本 崇子1,2, 有安 宏之1,2, 井上 達秀2, 臼井 健1,2,3 (1.静岡県立総合病院 ゲノム医療センター 遺伝診療科, 2.静岡県立総合病院 糖尿病・内分泌内科, 3.静岡社会健康医学大学院大学)
【背景】褐色細胞腫・パラガングリオーマ(PPGL)の約40%の症例に生殖細胞系列の病的variantを認めるといわれている。中でも、SDHBの病的variantは悪性を示唆する所見であり、フォローアップにおいてはその遺伝学的検査が有用である。【症例】57歳男性。PPGLを疑う家族歴なし。生来健康。腹痛の精査で行われた腹部CT検査で、偶発的に左副腎近傍に40mm大、右精巣に50mm大の腫瘤性病変を認めた。血中ノルアドレナリン、遊離ノルメタネフリン、尿中ノルメタネフリン高値、MRIや123I-MIBGシンチグラフィ検査より、後腹膜・精巣パラガングリオーマと診断し、後腹膜腫瘍と精巣摘出術を実施。精巣の腫瘍と思われたものは精索由来の傍精巣腫瘍であった。SDHB免疫染色においては両腫瘍とも陽性を示し、SDHx変異は否定的であるとこの時点では考えた。その他の遺伝子の検索のために行われた生殖細胞系の遺伝子パネル検査で、SDHBの病的variant(L157X)を認めた。【考察】米国内分泌学会では、すべてのPPGL患者に対して、遺伝学的検査の実施を考慮すべき、としている。日本においては、未だ遺伝学的検査のハードルが高く、腫瘍組織のSDHB免疫組織化学染色でスクリーニングを行うことが推奨されている。しかし、既報でも同様に免疫染色と遺伝学的検査の結果が乖離した症例が散見されており、現在のガイドラインの見直しも検討される。