講演情報

[P27-1]当院におけるNIPT結果陽性に対する検査後遺伝カウンセリングの8症例

倉員 正光, 四元 房典, 木村 いぶき, 清島 千尋, 讃井 絢子, 宮田 康平, 古賀 信彦, 新居見 俊和, 高士 祐一, 三嶋 崇靖, 八ツ賀 秀一, 大久保 久美子, 井上 貴仁 (福岡大学)
【背景】母体血を用いた無侵襲的遺伝学的検査(NIPT)において結果陽性例は、NIPTコンソーシアム加盟施設における2022年3月までの実施分において1.79%であった。NIPT結果陽性における検査後遺伝カウンセリングでは、適切な遺伝カウンセリングと多角的な支援体制が必須である。当院において、これまでNIPT結果陽性となった8症例の検査後カウンセリングを経験したので、NIPT結果陽性症例に必要な支援を明らかにする。【症例】2013年4月から2022年3月の間に当院でNIPTを受検した738症例を対象とした。NIPT結果は、陽性8症例(21トリソミー:6症例、18トリソミー:1症例、13トリソミー:1症例)、判定保留2症例、陰性728症例(98.6%)であった。21トリソミー陽性6症例中5症例は21トリソミーの確定診断となり、1症例は正常核型であった。21トリソミーの確定診断された5症例中4症例は人工妊娠中絶となり、1症例は妊娠を継続し出産となった。18トリソミー陽性症例は、羊水検査前に子宮内胎児死亡となり、流産となった。13トリソミー陽性1症例は、13トリソミーの確定診断後に人工妊娠中絶となった。人工妊娠中絶が選択された症例では、検査前に結果判明後の意思決定がなされているか否かに関わらず、多職種による産後の集中的な心理的ケアが必要であった。また、妊娠継続された症例では、NIPTの結果判明後からクライエント夫婦だけでなく、その両親を交えた話し合いがなされていた。【結論】NIPT結果陽性の検査後カウンセリングにおいては、医師だけでなく看護師を含めたチーム医療による継続的な支援体制が必要である。さらに、クライエント夫婦とその家族との関係性やNIPTに対する理解度に留意し、メンタルサポート体制を構築することの重要性を再認識した。