講演情報
[P27-12]長期生存が得られ、パミドロネートを投与している周産期重症型骨形成不全症の1男児例
○楡井 淳1,2, 深堀 響子1, 廣嶋 省太1, 澤野 堅太郎1, 山脇 芳2,3, 小林 玲1,2, 長崎 啓祐1, 齋藤 昭彦1 (1.新潟大学 医学部医歯学総合研究科 小児科学分野, 2.新潟大学医歯学総合病院総合周産期母子医療センター, 3.新潟大学 医学部医歯学総合研究科 産婦人科学分野)
【背景】骨形成不全症 (OI)は1型コラーゲンの異常のため易骨折性を呈する疾患である。周産期重症型は特に予後不良で、子宮内胎児死亡や新生児死亡(出生例の約90%)が多い。周産期重症型OIに対するパミドロネート治療に関する報告は少ない。【症例】月齢4男児、在胎16週の胎児エコーで頭囲拡大と四肢短縮を指摘され当院産科を受診し、周産期重症型OIが疑われた。産婦人科、新生児科、臨床遺伝専門医資格を有する小児内分泌科、助産師、臨床心理士を交えた話し合いを重ねた結果、両親は生命予後が不良であることを理解された上で出生後の集中治療を希望された。在胎38週に予定帝王切開で出生し、重症新生児仮死のため気管挿管で蘇生後NICUに入室した。出生時体重1636g (-4.18SD)、身長36.0cm (-5.12SD)、頭囲33.0cm (-0.08SD)、頭蓋菲薄化、青色強膜、胸郭狭小および四肢の短縮、レントゲンで肋骨骨折と長管骨の変形がみられた。重度の呼吸不全に対して人工呼吸療法が継続されている。遺伝子検査でCOL1A1遺伝子にヘテロ接合性にミスセンス変異が確認され、診断が確定した。41生日からパミドロネート投与を開始したが、副作用による呼吸障害増悪が懸念されたため少量を投与し、徐々に増量したところ発熱の他副作用はみられず、治療開始後骨折はない。両親は毎日面会のため来院し、頭蓋骨が固くなってきたことや四肢の動きが増えてきたことなど患児の成長を喜んでいる。【考察】パミドロネートの副作用として感冒様症状が問題になることがあるが、本症例では量、回数を減らしたことで安全に投与できた。治療開始後骨折はなく、パミドロネート投与によりQOLが改善していると考えられる。【結語】パミドロネートは重症型OIに対しても骨折頻度を減らし、長期生存に寄与する可能性がある。