講演情報
[P27-17]点状軟骨異形成症を合併した9p部分トリソミー:症例報告
○堀江 健司1, 高橋 宏典1, 下澤 弘憲2, 小古山 学1, 鈴木 寛正1, 大橋 麻衣1, 矢田 ゆかり2, 藤原 寛行1 (1.自治医科大学 産科婦人科学講座, 2.自治医科大学 小児科学講座)
【緒言】9p部分トリソミーは頭蓋顔面奇形や低身長,先天性心疾患,精神発達遅滞を示す染色体異常である.点状軟骨異形成症(chondrodysplasia punctata : CDP)は骨端軟骨とその周囲軟部組織の点状石灰化像を特徴とする症候群で,低身長のほか精神発達遅滞,先天性心疾患,呼吸障害を来すことがある.9p部分トリソミーとCDPとの合併が疑われた例を報告する.【症例】母体33歳,1妊0産,自然妊娠.妊娠21週に先天性心疾患が疑われ紹介された.胎児超音波検査で両大血管右室起始,心室中隔欠損,肺動脈閉鎖,大腿骨短縮を認めた.羊水染色体検査は希望しなかった.32週以降胎児発育が停滞し,血流異常も出現したことから36週で管理入院,妊娠高血圧症候群を発症しため38週6日に緊急帝王切開で出生した.出生体重1885g,身長42cm, 男児,Apgar値7点/8点(1分/5分).上記の心疾患, 頭蓋顔面異常(鞍鼻,耳介低位,短頭,大泉門開大),近位優位の四肢短縮,頚椎低形成,蝶形椎体を認めた.脊椎・足関節・股関節の点状石灰化像からCDPと診断した.染色体検査を行ったところ, G分染法では46,XY,add(22)(p12)のため, multi-color FISH法,CGHアレイを追加し,9p部分トリソミー(46,XY,der(22)t(9;22)(p11.2;p12))と診断した.両親に均衡型転座は認めなかった.心疾患に対し複数回の手術を要し,2歳1か月で退院. 現在は在宅通院療法を継続している.【考察】低身長,先天性心疾患,顔面異常などは9p部分トリソミー,CDPいずれにおいても生じうる症候であるが, 点状石灰化はCDPに特異的で9p部分トリソミーとの関連は低いと推察される.両者合併例の報告はない.今後, エクソーム解析などを考慮している.