講演情報

[P27-2]PGT-A結果と流産胎児絨毛染色体検査結果が不一致であった一例

近藤 麻奈美1, 榊原 嘉彦1, 吉岡 陽子1, 石田 千晴1, 水野 理恵1, 本田 理貢1, 鈴木 崇公1, 若松 侑子1, 齋藤 將也1, 高屋 茜1, 若原 靖典1, 渋谷 伸一1, 井上 大地1, 羽柴 良樹1,2, 浅田 義正1,2 (1.浅田レディースクリニック, 2.浅田生殖医療研究所)
着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)は胚盤胞の栄養外胚葉(TE)細胞から生検を行い、遺伝学的解析を行う。生検した5~6細胞での結果が、内部細胞塊(ICM)や採取箇所以外のTE細胞と必ずしも一致するとは限らず、不一致率は5-15%と報告されている。TE細胞とICM細胞の一致率は正倍数性胚で99.5%、異数性胚で97.3%、モザイク胚で35.2%との報告もある。今回、われわれはPGT-Aを実施し正倍数性胚と診断された胚を移植し、妊娠が成立したが初期流産し流産絨毛染色体検査において5番トリソミーと判明した症例を経験したため報告する。症例は妻41歳、夫38歳の夫婦。反復流産の既往から日本産科婦人科学会PGT-A特別臨床研究の組み入れ基準を満たしPGT-Aを実施した。胚盤胞11個を生検しTE細胞からDNAを抽出した。全ゲノム増幅の後、次世代シーケンサーにより各染色体由来のゲノムDNA量を定量し染色体数的異常の有無を解析した。染色体正倍数性胚3個、異数性胚8個が得られた。正倍数性胚を移植し妊娠成立したが、妊娠8週に胎芽と心拍確認後に初期流産となった。絨毛染色体検査(G-band)にて47,XX,+5[30]と、PGT-Aと流産絨毛染色体検査の結果が異なった。原因としてTE細胞に5番染色体トリソミー細胞が不均等分布している胚から正常細胞のみを採取した可能性、体細胞分裂の不分離により生じた5番染色体トリソミーと5番染色体モノソミーを同時採取した結果、診断が正倍数性となったが、胚発生段階でモノソミー細胞が淘汰され、5番染色体トリソミーが残存した可能性などが推測される。