講演情報
[P27-23]妊娠中に3次元超音波検査を行い、口唇口蓋裂と診断した一例
○植村 遼1, 田中 和東1, 中井 建策1, 林 雅美1, 和田 卓磨1, 長嶋 愛子1, 中川 佳代子1, 西尾 順子1, 石河 修1, 瀬戸 俊之2 (1.泉大津市立病院 産婦人科, 2.大阪公立大学 臨床遺伝学)
【緒言】口唇・口蓋裂は胎生早期に生じる顔面の先天異常で、臨床上しばしば遭遇する先天性形態異常である。今回我々は、妊娠中に口唇口蓋裂の診断に至り、遺伝カウンセリングを行った症例を経験したので報告する。【症例】26歳、女性、4妊3産、特記すべき併存症・内服歴なし。第3子は口唇裂で手術歴があった。妊娠7週より当科にて妊婦健診を行っていた。妊娠24週時の超音波検査で口唇裂が疑われた。妊娠34週の超音波検査時に3次元超音波検査を併用したところ、硬口蓋の欠損を認め口蓋裂が疑われた。妊娠34週の超音波検査でも同様に口唇口蓋裂が疑われた。児の体重増加は良好で、その他の先天奇形は疑われなかった。産科主治医、助産師同席のもと遺伝カウンセリングを行い、児に口唇口蓋裂を認めており、哺乳不良の問題が生じる可能性があること、その他の形態異常や染色体異常を合併することがあることを説明した。母は、第3子に口唇裂を認めることもあり、受け入れ良好であった。妊娠36週1日に陣痛発来し、同日経腟分娩に至った。児は2164g(LFD)の男児、Apgar score 8点/9点であり、口唇口蓋裂を認めた。産褥5日目に母は退院となった。児は、経腸栄養を併用しながら、口蓋裂用乳首を使用し哺乳を行った。他院口腔外科共観のうえ、ホッツ床を作製し日齢13に装着、経口哺乳良好となった。日齢26に退院となった。【考察】口唇口蓋裂には他の先天異常を合併する頻度が高く、出生前診断された場合には、合併異常の精査が必要である。口蓋は硬組織に囲まれており超音波での観察が難しく、口唇裂に比してその出生前診断の頻度は低い。また口蓋裂を有する場合には、吸啜が不十分となり経口哺乳が困難になる。【結語】口唇裂を認める患者に3次元超音波検査を併用することで出生前に口蓋裂を診断し、より正確な出生前診断を行ったうえで遺伝カウンセリングを行うことができた。