講演情報

[P27-5]流産絨毛組織染色体検査においてSNPマイクロアレイ法が有用であった2例の報告

中原 恵理, 苔口 昭次, 岡本 恵理, 塩谷 雅英 (英ウィメンズクリニック)
【背景】2022年4月よりG分染法による流死産絨毛胎児組織(POC:product of conception)染色体検査(以下、POC検査)が保険適用となった。しかし、G分染法では検出不可能な症例も存在する。そこで今回は、当院においてSNPマイクロアレイ法によるPOC検査が有用であった2例を経験したので報告する。【症例1】母体年齢44歳 0経妊0経産、人工授精にて妊娠成立。その後、確認された胎嚢の輪郭が不整であり経過観察を行っていたが自然流産となり流産手術を施行。SNPマイクロアレイ法によるPOC検査の結果、全領域において単一アレルの2倍体(LOH)であることが確認された。【症例2】母体年齢39歳、1経妊1経産、顕微授精-凍結融解胚移植 (採卵時39歳)にて妊娠成立。その後胎児心拍確認できず自然流産となり、流産手術を施行した。G分染法によるPOC検査の結果、5p15.3を切断点とした由来別に3群に分けられるジャンピング転座 (JT:jumping translocations)が同定された。すべての群で由来が不明であり、由来同定のためSNPマイクロアレイ法を実施したところ4p、7q、10p、18q、Xpの末端部に3コピー領域を認め、現在も追加解析中である。【考察】(症例1)G分染法では正常核型と判定される症例であり、SNPマイクロアレイ法が流産の原因探索に有用であったと考える。(症例2)転座断片が微細であったため、転座断片の由来特定にSNPマイクロアレイ法の併用が一助となったと考える。【結語】流産原因の特定は悲しみの中にある当事者にとって大きな意義を持つことから、SNPマイクロアレイ法によるPOC検査も症例によっては検討に値すると考えられた。