講演情報
[P27-6]IRUDによりPLD1遺伝子変異と診断された胎児純型肺動脈閉鎖症
○小野寺 洋平1, 野口 篤子2, 高橋 郁子2, 藤嶋 明子1, 今野 めぐみ1, 三浦 広志1, 高橋 勉2, 寺田 幸弘1 (1.秋田大学 医学部 産婦人科, 2.秋田大学 医学部 小児科)
【はじめに】Phospholipase D(PLD1)遺伝子は心臓の発生に関与していることが示されており、特に心臓弁膜形成への関与が報告されている。動物実験において、PLD1遺伝子欠損における右室流出路障害が示されている。近年、先天性心疾患症例に対する全エクソーム解析による遺伝子解析が進み、PLD1遺伝子変異に伴う先天性心臓弁膜症の症例報告がみられている。
【症例】39歳、2妊0産。前回妊娠時、妊娠18週で子宮内胎児死亡を確認された。胎児死亡を診断された際、心筋に沿う高輝度エコー像を観察されていた。自然妊娠し、妊娠初期から当院で妊娠管理していた。妊娠18週0日の超音波検査で胎児右室低形成を認め、精査で純型肺動脈閉鎖症の診断となった。妊娠継続を希望されていたが、妊娠19週6日に子宮内胎児死亡が確認された。流産絨毛染色体検査の結果は46,XYであった。原因検索のため未診断疾患イニシアチブ(IRUD)への登録を希望され、本児の絨毛検体、前児の乾燥臍帯、夫婦の唾液検体を提出した。全エクソーム解析を通じて、前回・今回妊娠ともに常染色体潜性遺伝形式をとるPLD1遺伝子変異を指摘され、両親が保因者であることが判明した。夫婦への遺伝カウンセリングにおいて、着床前診断を含めた出生前診断について情報提供した。
【考察】前回妊娠時に原因不明の胎児死亡を認められ、今回妊娠時に純型肺動脈閉鎖症の診断後に胎児死亡に至った。反復する心疾患が示唆され遺伝疾患である可能性が想起されたことで、IRUD登録を経てPLD1遺伝子変異が明らかとなった。従来は診断されることが困難であった疾患であるが、IRUDを通して診断することができた。今後、遺伝学的検査の発展・拡大とともに、原因不明とされてきた症例の診断が進むと考えられる。
【症例】39歳、2妊0産。前回妊娠時、妊娠18週で子宮内胎児死亡を確認された。胎児死亡を診断された際、心筋に沿う高輝度エコー像を観察されていた。自然妊娠し、妊娠初期から当院で妊娠管理していた。妊娠18週0日の超音波検査で胎児右室低形成を認め、精査で純型肺動脈閉鎖症の診断となった。妊娠継続を希望されていたが、妊娠19週6日に子宮内胎児死亡が確認された。流産絨毛染色体検査の結果は46,XYであった。原因検索のため未診断疾患イニシアチブ(IRUD)への登録を希望され、本児の絨毛検体、前児の乾燥臍帯、夫婦の唾液検体を提出した。全エクソーム解析を通じて、前回・今回妊娠ともに常染色体潜性遺伝形式をとるPLD1遺伝子変異を指摘され、両親が保因者であることが判明した。夫婦への遺伝カウンセリングにおいて、着床前診断を含めた出生前診断について情報提供した。
【考察】前回妊娠時に原因不明の胎児死亡を認められ、今回妊娠時に純型肺動脈閉鎖症の診断後に胎児死亡に至った。反復する心疾患が示唆され遺伝疾患である可能性が想起されたことで、IRUD登録を経てPLD1遺伝子変異が明らかとなった。従来は診断されることが困難であった疾患であるが、IRUDを通して診断することができた。今後、遺伝学的検査の発展・拡大とともに、原因不明とされてきた症例の診断が進むと考えられる。