講演情報
[P27-7]9トリソミー・モザイクの2例
○松原 裕子1, 安岡 稔晃1, 内倉 友香1, 高木 香津子1, 松原 圭一1, 杉山 隆1, 江口 真理子2 (1.愛媛大学 医学部 産婦人科, 2.愛媛大学 医学部 小児科)
【緒言】 9トリソミー・モザイクは、多彩な症状を持つ生命予後不良な疾患であるが、55例ほどの報告しかなく、その詳細は不明である。今回我々は9トリソミー・モザイクの2症例を経験したので報告する。【症例1】37歳の初産婦で自然妊娠成立。前医にて妊婦健診を受けていたが、胎児発育不全のため、妊娠26週6日に当院へ紹介された。胎児超音波検査にて、明らかな胎児形態異常の所見は認められなかった。妊娠27週4日、胎児機能不全にて緊急帝王切開を施行した。体重532g(-3.5SD)の男児をAS1/6で出生した。胎盤の染色体検査では47,XY,+9、児の末梢血染色体検査は46,XYであった。月齢8で末梢血FISH検査を行い150細胞中5個にトリソミー9細胞を認め9トリソミー・モザイクと診断した。現在、7歳であり、難治性てんかん、喉頭軟化症、摂食障害、停留睾丸、黄斑低形成で外来通院中である。【症例2】 37歳の初産婦で自然妊娠成立。前医にて妊婦健診を受けていたが、羊水過多のため、妊娠37週2日当院へ紹介された。胎児超音波検査にて、心拡大、心室中隔欠損、肺動脈閉鎖、胸水、皮下浮腫、単一臍帯動脈を認めた。妊娠38週1日、骨盤位のため帝王切開を施行し、2334g(-1.4SD)の男児をAS1/3で出生した。児の末梢血染色体検査は47,XY,+9[8]/46,XY[12]であった。現在、月齢2で肺低形成、肺高血圧にてNICU入院管理中である。【考察】症例1は出生後の検査では限局性胎盤モザイクであったが、臨床症状より9番染色体異常を疑い、月齢8でFISH検査施行し9トリソミー・モザイクと診断された。3.3%の低モザイク率であった。症例2では、出生後の児の末梢血染色体検査で9トリソミー・モザイクと診断、モザイク率は40%であった。9トリソミー・モザイクは、血液とその他の体細胞とのモザイク率が異なることや、臨床症状が多彩であり、診断には、適切な時期及び適切な検査方法の選択が必要である。