講演情報
[P29-11]重症新生児の網羅的疾患エキソームによる迅速診断:2例の報告
○逆井 悦子1,2, 相良 真理子1,2, 小田 小百合1,2, 大場 大樹7, 来住 美和子7, 澤田 優貴7, 西村 力6, 利根澤 慧3, 林 拓也4, 田代 昌久5, 小山 真弘2, 大橋 博文7 (1.埼玉県立小児医療センター 遺伝検査室, 2.埼玉県立小児医療センター 検査技術部, 3.埼玉県立小児医療センター 救急診療科, 4.埼玉県立小児医療センター 集中治療科, 5.埼玉県立小児医療センター 代謝内分泌科, 6.埼玉県立小児医療センター 新生児科, 7.埼玉県立小児医療センター 遺伝科)
【はじめに】次世代シーケンス(NGS)を用いた疾患エキソーム解析(WES)による基礎疾患不明重症新生児の迅速診断(以下Rapid-NGS)が注目されている。その診断率は13~50%、診断がもたらす診療方針(治療介入等)への影響は半数に及ぶとされる。当センターで行ったRapid-NGSの2例を報告する。【方法】Rapid -NGS運用の流れは、1)担当医から重症新生児の臨床情報を記載した申請書式を用いて遺伝科医師に解析依頼、2)担当医が患者家族に説明し同意取得後に血液検体を遺伝検査室に提出、3)NGS/WES施行、4)variantならびにCNV(NGS-CNV)評価、5)“Genome Board”を開催し迅速診断結果報告(一連のNGS/WES解析の開始後8日目に設定。最終診断結果報告は約1か月後)。【症例1】日齢13日女児;アシドーシス、中枢神経異常、心疾患。NGS-CNV で9p重複・3p重複と診断(別に施行した染色体検査で47,XX,+add(9)(q12))。二次的所見としてCFTR遺伝子のホモ接合性ミスセンス変異を検出。【症例2】日齢18日女児;全身浮腫、心疾患。BRAF遺伝子異常を検出しCFC(あるいはNoonan)症候群と診断。【考察】Rapid-NGSによる重症新生児の早期診断は治療を中心とする包括的なケアのために有用と考える。小児医療専門施設が果たすべきゲノム診療と位置付けて当センターではRapid-NGSプロジェクトを2022年4月からスタートしている。運用の鍵となる”Genome Board”は遺伝関連スタッフ(臨床遺伝専門医、臨床検査技師、臨床細胞遺伝学認定士、認定遺伝カウンセラー)に加え、NICU・PICU部門、代謝内分泌科、(疾患に応じて神経科)の連携でメンバーを構成している。