講演情報

[P29-16]健常者集団中のエピバリアントを視覚的に確認できるウェブビューワの構築

青砥 早希1, 秦 健一郎2,3, 中林 一彦2 (1.国立成育医療研究センター メディカルゲノムセンター, 2.国立成育医療研究センター 周産期病態研究部, 3.群馬大学・医学部医学科 分子細胞生物学)
NGS技術の価格低下が進み、エクソーム解析は最も安価な疾患ゲノム解析法の一つとなっている。ハードウェア、ソフトウェア改良に伴い、エクソームデータ解析が今や5分程度で可能となっている。それでも希少遺伝性疾患のエクソーム解析による確定診断率は世界的に4割程度に留まっており、その打破が大きな課題である。未診断症例に対するショートリード全ゲノムシーケンスにロングリードシーケンスやRNAシーケンスも加えた統合的アプローチの有効性が既に示されているが、最近、DNAメチル化データの有用性にも注目が集まっている。 稀なDNA高メチル化(エピバリアント)が遺伝子プロモータ不活性化を伴うゲノム変異の同定指標として示されたことが、その背景にある。本研究ではGEOで公開されている健常人のDNAメチル化アレイデータ3367人分を用い、特にプロモータ領域に絞ってメチル化状態を概観できるEpimutaion Viewer(https://mgc.nrichd.ncchd.go.jp/EMu/)を開発・WEB公開した。本ビューワでは、プロモータ領域ごとに平均メチル化値及び標準偏差を求め、対象領域のプローブのメチル化値の合算値が3σ以内及び3σ以上を示す個体を分けて各個体のメチル化値を表示する。それにより、検索対象としたプロモータ領域のメチル化がヒト集団でタイトに制御されているのかバリエーションに富んだ領域なのかを視覚的に把握し、そこでのエピバリアントの有無やその頻度を簡易に確認することができる。また、本ビューワの機能をベースにユーザーが保有するデータからメチル化異常を有するプロモータ領域や検体を抽出できるEpimutation Finderを開発予定であり、発表では異常なメチル化異常を伴う疾患の診断に役立つ効果的な検出方法や、診断に際し付随すべき項目について議論したい。