講演情報
[P30-13]Opitz-G/BBB症候群の2家系の遺伝カウンセリング
○西村 夕美子1, 鈴木 寿人2, 西 恵理子1, 長谷川 結子1, 山田 茉未子2, 武内 俊樹3, 小崎 健次郎2, 岡本 伸彦1 (1.大阪母子医療センター 遺伝診療科, 2.慶應義塾大学医学部 臨床遺伝学センター, 3.慶應義塾大学医学部 小児科学教室)
【はじめに】Opitz-G/BBB症候群は、眼間開離、喉頭・気管・食道の異常、尿道下裂など正中線上の症状を特徴とする先天異常症候群である。Xp22.2に座位し正中部発生に関与するMID1が原因として同定されている。X連鎖性遺伝を示し主に症状を認めるのは男性で、女性では眼間開離のみを呈し、他の症状を認めることはまれとされる。児のOpitz-G/BBB症候群の診断をきっかけに母が保因者であることが判明した2家系への遺伝カウンセリング(以下GC)について報告する。【症例1】1歳7か月男児。胎児期に口唇裂、静脈管走行異常、左上大静脈走行異常の指摘あり。重症新生児を対象としたトリオの網羅的遺伝子解析にて、MID1の病的バリアントc.896_902dup:p.(Gln304Leufs*6)をへミ接合性に、母にヘテロ接合性に認めた。母は次子の希望があり、妊娠中に罹患の有無を知っても産むことはかわらないとの思いを述べられた。【症例2】1歳6ヵ月男児。出生後、肛門位置異常、尿道下裂、咽頭裂より同症候群を疑い、ダイレクトシーケンスにてMID1のへミ接合性の病的バリアントc.1630delG,p.(Glu544Lysfs*4)が同定された。GCでのX連鎖性遺伝についての情報提供に際して、母は、早期の次子希望とご自身が保因者である可能性への不安を述べられた。3回のGCを経て、母は遺伝学的検査を受検し、同バリアントをヘテロ接合性に認めた。母の結果開示後のGCでは次子妊娠時の出生前診断の希望や母の姉への思いを話された。【考察】Opitz-G/BBB症候群は、合併症や知的障害の重症度について非常に幅がある(臨床的多様性)ことなどから、出生前診断については慎重な議論が必要であると考えられる。GCを通じて、個々の思いを受け止めながら、納得した上で自律的な決定が出来るよう継続的な関わりが重要である。