講演情報
[P30-3]生後早期に診断されたTUBB3 遺伝子異常症に対する遺伝カウンセリング
○川戸 和美1, 山田 茉未子2, 鈴木 寿人2, 武内 俊樹2, 小崎 健次郎2, 岡本 伸彦1 (1.大阪母子医療センター 遺伝診療科, 2.慶應義塾大学医学部 臨床遺伝学センター)
はじめに)網羅的遺伝子解析が可能となり、希少疾患が診断される症例が増えてきている。今回、新生児を対象とする迅速な遺伝子診断(Priority-i)を実施し、生後3カ月でTUBB3 遺伝子異常が認められた症例の遺伝カウンセリング(GC)を経験したので報告する。症例)6ヵ月の女児。妊娠中の指摘なく、家族歴なしの第1子。在胎38週0日、身長50cm(+1.0SD)体重2708g(±0SD)頭囲30.5cm(-1.8SD)で出生。Apga7 /9 である。生後3日に小頭症、SpO2低下のため、A病院から当センターに搬送された。その他の症状は、脳室拡大、大脳皮質異常、脳梁欠損、両側難聴、筋緊張亢進である。遺伝学的検査とGC)生後7日で当科に院内紹介となる。いくつか症状があるためG分染法とマイクロアレイを提案し実施した。核型は、46,XXでマイクロアレイも異常はなかった。両親ともにさらなる原因検索を希望されPriority-iを提案し実施した。TWST Exome2.0を用いて遺伝子解析を実施した結果、TUBB3 遺伝子NM_006086c.1178C>T p.Ala393Valを認めた。このバリアントは突然変異であった。両親ともに、早期に診断がついてよかったと感想を述べた。まとめ)生後早期に希少疾患の診断がついた症例を経験した。 当科では同じ遺伝子異常症が他に2例いるが、ともに幼児期に発達遅滞を主訴に網羅的遺伝子解析で診断がついている。新生児期には発達遅滞を実感できないため、今後の見通しも含めて疾患説明を行ったがイメージが付きにくい様子であった。特に母親からは「いつか他の子に追いつくんですよね」との発言があり、幼児期に診断された症例とは、違った受け止め方であるように感じた。今後、Priority-iで早期診断児が増えると予測される。GCでは、まだ実感できていない両親の思いに丁寧に寄り添い、フォローする必要がある。