講演情報

[P30-4]エーラスダンロス症候群に対するプレコセンセプションケア

内倉 友香, 松原 圭一, 安岡 稔晃, 高木 香津子, 松原 裕子, 杉山 隆 (愛媛大学 医学部 産婦人科)
【緒言】Ehlers-Danlos症候群(EDS)は、皮膚・血管・関節など全身の結合組織の脆弱性を特徴とする先天性疾患である。EDSは現在、13型に分類されるが、特に血管型は子宮破裂のリスクや母体死亡率が高い。今回、幼少期にEDSと診断され、妊娠および次子への影響に関するプレコンセプションケアを行った症例を経験した。【症例】28歳、0妊0産。幼少期より皮膚の過伸展や関節拘縮、創傷治癒が遅いなどの所見を認め、EDSと診断されていたが、遺伝学的検査は行われていなかった。27歳で結婚し、妊娠および次子への影響を心配し、プレコンセプションケアを希望して当院を紹介受診した。顔貌は特徴的で、皮膚の過伸展、内反足、細長い手指、手掌の過剰な襞を認めた。遺伝学的検査を行った上で臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングを行った。結果、両アレル性のCHST14変異であり、筋拘縮型EDSと診断した。筋拘縮型EDSは常染色体劣性遺伝であり、全身性のデルマタン硫酸欠乏により進行性の組織脆弱性を特徴とする疾患である。これまで、筋拘縮型EDS合併妊娠の報告は少なく、妊娠した場合、流・早産や絨毛膜下血腫、常位胎盤早期剥離、子宮破裂や分娩時の血腫形成などに留意しながら慎重に管理する必要があることを説明した。【結語】EDS合併妊娠では妊娠合併症の発症が多いためハイリスク妊娠となるが、周産期管理については一定した見解がなく、症例に応じた適切な管理が求められる。妊娠前から十分な情報提供を行い、安心して妊娠・出産できるような環境を整えることが必要である。