講演情報
[P30-8]コンパニオン診断を契機に遺伝カウンセリングを行った4例
○西岡 暢子, 石黒 共人, 星野 将輝, 田村 奈見, 川合 貴幸, 藤岡 彩, 山口 舞子, 前原 真里, 中村 謙一, 糸賀 知子 (越谷市立病院 産婦人科)
はじめに コンパニオン診断が保険収載されてから、悪性腫瘍に対する治療薬の適合を目的として広く行われるようになった。検査結果により適切な遺伝カウンセリングが必要となる。2019年以降コンパニオン診断をきっかけに遺伝性腫瘍が疑われ、カウンセリグを行った症例を4例について報告する。症例1 51歳女性。卵巣がんで相同組替え修復検査(HRD検査)を行い、tBRCA病的バリアント陽性であった。姉は30歳で乳がんの既往あり。1回目のカウンセリングは化学療法開始後に行われたが、治療を優先させたい意思表示があり、化学療法終了後に2回目のカウンセリングを施行しgBRCA検査を行なった。症例2 53歳女性。乳がんで化学療法中にBRCA検査を行い、BRCA1陽性のため遺伝カウンセリングを施行。ご本人の卵巣がんに対するサーベイランス検査や卵巣の予防的切除、血縁者の検査について提案したが兄弟と疎遠であり血縁者へ告知はされなかった。症例3 47歳男性。大腸がん 実母及び兄が大腸癌。抗PD-1抗体薬のコンパニオン診断としてのマイクロサテライト不安定性(MSI)検査でMSI-Highと診断された。リンチ症候群についての説明、検査について提示したが、家族とは疎遠であり検査は希望されなかった。症例4 58歳女性。卵巣がんで相同組替え修復検査(HRD検査)を行い、tBRCA病的バリアント陽性であった。母が乳がん。1回目のカウンセリングは化学療法中に行われた。ご自身で遺伝性腫瘍に関して調べており十分に理解されておりgBRCA検査を行なった。まとめ コンパニオン診断を契機に遺伝性腫瘍が疑われた4症例に対し遺伝カウンセリングを行った。遺伝性腫瘍に対する遺伝子検査を希望されたのは2例だった。2例は遺伝性腫瘍に対する検査は希望されなかった。自身の病状によっては遺伝子検査を受ける精神的余裕がなく、血縁者と疎遠な場合は遺伝子検査を行うのが難しい場合もあった。