講演情報
[P7-12]TRIO-related intellectual disabilityの2例
○西 恵理子1, 長谷川 結子1, 柳 久美子2, 要 匡2, 岡本 伸彦1 (1.大阪母子医療センター 遺伝診療科, 2.国立成育医療研究センター研究所 ゲノム医療研究部)
緒言:TRIO-related intellectual disabilityはTRIOの病的バリアントによる常染色体顕性遺伝の知的障害である。Intellectual developmental disorder, autosomal dominant 44, with microcephaly(MIM;617061)、Intellectual developmental disorder, autosomal dominant 63, with macrocephaly(MIM;618825)と分けられ、それぞれ機能喪失または機能獲得効果との関連が示唆されているが、未解明な部分も多い。TRIOのde novoの病的バリアントを認めた筋緊張低下を伴う発達遅滞2例について検討した。方法:末梢血を用いてトリオ全エクソーム解析を施行した。結果:症例1(7歳女児)、出生時は小頭症を認めたが、現在は相対的大頭を示し、中等度知的障害と自閉症スペクトラムを認める。GEFD1ドメインに新規のバリアントc.4085A>G, (p.Tyr1362Cys)を認めた。症例2(3歳男児)、脳梁低形成、小頭症を示し、7番目のSpectrin repeatに既報告のバリアントc.3232C>T, (p.Arg1078Trp)を認めた。考察: TRIOがコードするRhoグアニンヌクレオチド交換因子(RhoGEF)TRIOは、GTPase RAC1を活性化し、アクチン細胞骨格リモデリングの調節により、神経細胞の移動、軸索伸長、軸索誘導、シナプス形成にかかわる重要な制御因子であると考えられている。TRIOは胎児期の脳で高発現しGEFD1ドメインのバリアントは小頭症と、7番目のSpectrin repeatのバリアントは大頭症との関連が示唆されている。 TRIOのさらなる機能解析と新たな症例の蓄積が期待される。