講演情報

[P7-15]停留睾丸と尿路奇形を合併し、マイクロアレイ染色体検査(CGH法)でMECP2重複症候群の診断に至った男児例

吉岡 耕平1, 右田 王介1,2,3, 置塩 英美4, 加久 翔太朗5, 小澤 南1,2, 久我 亜沙美1, 荻原 眞帆1, 鈴木 由妃1, 本吉 愛1, 杉下 陽堂1, 宮本 雄策2, 清水 直樹2, 津川 浩一郎1 (1.聖マリアンナ医科大学 遺伝診療部, 2.聖マリアンナ医科大学 小児科, 3.聖マリアンナ医科大学 臨床検査部, 4.帝京大学医学部 小児科, 5.川崎市立多摩病院 小児科)
【緒言】 MECP2重複症候群は乳児期早期から筋緊張低下、重度精神運動発達遅滞、進行性痙性障害、反復性感染症および難治性てんかんを特徴とする疾患である。我々は、2021年10月から保険収載されたマイクロアレイ染色体検査(CGH法)(以下アレイCGH法)によって MECP2重複症候群と診断した男児例を経験したので報告する。【症例】1歳6か月男児。妊娠30週頃から羊水過少、胎児発育不全を指摘されていた。在胎40週0日、体重2283g、胎児機能不全により緊急帝王切開、第1度新生児仮死にて出生、蘇生後も酸素化不良が継続したため当院NICUに搬送された。新生児遷延性肺高血圧症、小奇形(耳介低位、小顎、翼状頚、左停留睾丸、左肋骨欠損)があり、入院中には尿路感染症を認めた。その後日齢31で退院した。発達は追視は生後3か月まで認めず、頚定は6か月で未完了、1歳5か月時でも寝返り不完全、移動困難、座位保持困難であった。生後4か月頃から啼泣後強直し、顔色不良が出現するエピソードが増加した。肺炎で生後7か月、10か月、1歳時に入院を要した。1歳時にも尿路感染症を発症し、排尿時膀胱尿道造影検査で左膀胱尿管逆流症4度を確認した。G-band検査で異常核型46,Y,add(X)(q28)が判明しており、保険収載をまって1歳過ぎにアレイCGH法を実施し MECP2遺伝子領域を含むX染色体の重複arr[GRCh37]Xq27.3q28(144673688-1536711160×2)が判明した。【結語】詳細な診断のなかったけいれん、発達の遅れ、易感染性を示す男児をアレイCGH法により MECP2重複症候群と診断し、かつ隣接遺伝子症候群が示唆された。本例は分染法でも検出される比較的大きな領域の重複を伴い、停留睾丸、尿路奇形を合併していた。アレイCGH法のデータ蓄積により近傍の関連遺伝子や病態解明などが期待される。