講演情報

[P7-16]DeSanto-Shinawi症候群の2例

高野 亨子1,2, 原田 由紀子3, 山口 智美1,2,4, 涌井 敬子1,2, 古庄 知己1,2,4 (1.信州大学 医学部附属病院 遺伝子医療研究センター, 2.信州大学 医学部 遺伝医学, 3.稲荷山医療福祉センター 小児科, 4.信州大学 医学部 クリニカル・シークエンス学講座)
【背景】DeSanto-Shinawi症候群(DESSH、MIM# 6167008)はWAC遺伝子の機能喪失性バリアントにより発症する稀な常染色体顕性遺伝疾患であり、新生児期の筋緊張低下、発達遅滞・知的発達症、自閉スペクトラム症、行動面の問題、特徴的な顔貌等を呈する症候群である。現在まで40に満たない症例数のため情報が少ないが、本邦からの症例報告も散見されている。【症例1】16歳女性、幼児期に筋緊張低下、発達遅滞、尖足歩行と足関節拘縮を指摘されリハビリテーションを開始した。学童期以降、両側手関節、肘関節、指関節の拘縮が明らかとなった。四角い顔、濃い眉毛などの顔貌の特徴を認めている。現在、軽度知的発達症、自閉スペクトラム症、不安、睡眠障害のため薬物療法を受けている。【症例2】 14歳女性、幼児期に発達遅滞と尖足歩行を指摘されていた。眉毛癒合、多毛、顔面中部後退などの顔貌の特徴も呈している。現在、中等度知的発達症、注意欠如・多動症、自閉スペクトラム症を認め、薬物療法を受けている。【遺伝学的検査】次世代シークエンサーIon GeneStudio S5システムを用い、神経発達症関連遺伝子パネル解析を行った。症例1にWAC遺伝子のde novoのナンセンスバリアント、症例2にWAC遺伝子のde novoのフレームシフトバリアントをヘテロ接合性に認めた。【考察】両症例とも知的発達症、自閉スペクトラム症、行動面の問題、特徴的な顔貌など呈しており過去に報告されているDESSHと矛盾しなかったが、症例1に認められた非進行性の関節拘縮は非典型的な症状であった。最近、関節可動域制限を認めたDESSHの症例報告があったことから、関節拘縮は稀なDESSHの合併症の1つである可能性が示唆された。