講演情報

[P7-17]当院における早発卵巣不全患者に対する染色体検査実施状況及びその後の治療方針についての検討

後藤 剛1, 瀧内 剛1,2, 辻 沙織1, 本多 秀峰1, 山本 幸代1, 来間 愛里1, 伊藤 風太1, 伴田 美佳1, 三宅 達也1, 橋本 香映1, 木村 正1 (1.大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学講座, 2.大阪大学大学院 医学系研究科 先端ゲノム医療学共同研究講座)
【緒言】早発卵巣不全(premature ovarian insufficiency: POI)は40歳未満の卵巣性無月経と定義され、40歳未満の1%にみられる難治性不妊症である。大部分が原因不明であるが、医原性、自己免疫疾患、感染などの他に、X染色体異常(Turner症候群、Triple X症候群等)、遺伝子異常が同定されることもある。このため原因検索の一つとして染色体検査が考慮されるが、染色体検査実施の有無によりその後の治療方針決定に影響があるかは不明である。今回我々は、POI患者の染色体検査実施状況及びその後の治療方針について検討した。【方法】2016年1月から2021年6月に当院産婦人科を受診しPOIと診断された患者を対象とし、電子カルテにて患者情報を抽出した。【結果】対象は31症例あり、悪性腫瘍に対する化学療法後の症例が6例(19%)、卵巣手術後の症例が4例(13%)であった。それら以外の21例中12例(57%)に染色体検査を実施し、2例に染色体異常(45X、46X add(X)(q21,3))を認めた。染色体検査を実施した12例中6例で不妊治療もしくは妊孕性温存療法を行い、検査未実施の9例中4例(全て既婚患者)で不妊治療を行った。21例中、未婚患者は12例で、このうち染色体検査実施は8例、うち5例に卵巣予備能の評価としてAMHが測定され結果は全て検査感度以下(<0.01ng/ml)であった。AMH実施した1例、AMH未実施の1例で妊孕性温存治療を行った。一方、染色体検査未実施の4例ではAMHも測定せず、妊孕性温存治療を行われなかった。【考察】POIの未婚患者では染色体検査がその後の治療方針に影響を与えている可能性が示唆された。