講演情報

[P7-18]3q27への転座を伴う21q11q22欠失の1例

鈴村 宏1, 小森 慈海2, 菅原 沙織1, 吉原 重美1 (1.獨協医科大学 小児科, 2.那須赤十字病院 小児科)
21q部分欠失は非常に稀な疾患である。今回我々は3q27への転座を伴う21q11q22欠失を認めた症例を経験したので、文献的考察を含めて報告する。【症例】2歳女児【経過】在胎37週、出生体重1732g。出生時から両側母指の内反拘縮あり。低位鎖肛を認め、新生児期に手術。2歳時の診察で精神運動発達遅延および低身長(-2.4SD)、小頭(頭囲-3.7SD)あり。また、股関節・足関節の拘縮、顔貌異常(眼裂狭小・眼裂斜下、厚い口唇)を認めた。頭部MRは異常なし。【染色体G分染】21 monosomy、および3q27qter欠失とその切断点に由来不明の染色体断片付加を認めた。21番染色体断片が3q27に転座している可能性を考え、以下の検査を行った。1)マルチカラーFISH: 3q端部への21番染色体断片の転座が証明された。2)マイクロアレイ染色体検査 :21q11.2q22.11の欠失を認めた。3q27qterの欠失は証明されなかった。上記の結果から、21q22.11qterが3q27に転座していると考えられた。3q27欠失はマイクロアレイでは証明されなかったが、おそらく遺伝子の存在しないテロメア部分に微細欠失があったと考えられる。両親の染色体検査については同意が得られなかった。【文献的考察】21q部分欠失は本例を含めて14例の報告があり、いずれも発達遅延・低身長・心疾患・顔貌異常などの症状を呈する。欠失部位はさまざまであるが、そのうち8例で他染色体の端部欠失を伴う不均衡型転座を伴うのが特徴である。不均衡型転座を伴う過去の7例中6例がde novo、1例で母親の均衡型転座を認めた。問題点としてde novoの場合も片親が均衡型保因者の場合も、21pから21q22.11が派生染色体とならずに全て欠失してしまう機序は不明である。