講演情報
[P7-4]X染色体変異症例に関する当院婦人科でのフォロー状況
○藤井 美穂1, 佐藤 奈菜香1, 遠藤 俊明1,2 (1.社会医療法人社団カレスサッポロ時計台記念病院 女性診療科, 2.札幌医科大学産婦人科学講座)
女性の染色体変異のうちでX染色体の変異は、2000分娩に1症例位の頻度で出生しているため決して稀なものではない。表現型異常として代表的なものは、月経異常の頻度が高いが、月経異常が無いか、軽度な症例もある。X染色体の場合、妊孕能に関係しているため、対応には慎重を要する。(症例)当院の外来を受診したX染色体に関する変異症例はこれまで16例であった。初診時の年齢分布は、10歳代は15歳が2例と18歳が1例、最高齢は46歳だったが、それ以外は20歳代であった。今回の症例でも低身長が顕著で146±3cmで、受診のきっかけは、小児科から2次紹介例が大部分であった。重要な合併症としては循環器系があるが今回の症例では2例のみだった。染色体の核型は45,Xは6例で、それ以外の核型は46,X,add(X)(p11.23)、46X,i(X)(q10)が2例、モザイクが45,X/47,XXXが2例、45,X/46,X,r(X)(q22.3q24)、45,X/46,X,+r1/46,X,+r2、47,XXX/46,X,i(X)(q10)、45,X/46,idic(X)(q22.3)などである。46歳の初診の45,Xは10歳代でターナー症候群を指摘されたが、その後はフォローされず、病態の詳細を知りたいという動機だった。(考察)X染色体変異例としては、45,Xが代表的で低身長のため小児科領域で気づかれることが多く、婦人科には年齢が進んだ後の2次紹介として受診され、Kaufmann療法が主体となる。今回の症例には正常月経周期の症例も複数含まれていた。それらの正常月経周期例は妊孕能は健常と思われた。あるいは月経異常があっても妊孕能については、早くからの親に対する遺伝カウンセリングが必要で、最終的に婦人科へ受け渡すのではなく、早期からの小児科と婦人科の連携対応が必要と思われた。