講演情報
[P7-8]STAG1を含むde novoの3q22.1q22.3欠失を有する、重度成長発達遅滞、多発奇形の男児例
○村上 博昭1,2,3, 熊木 達郎3, 榎本 友美4, 阪下 達哉2, 寺澤 厚志5, 今村 敦2, 黒澤 健司3,4, 金子 英雄1 (1.岐阜県総合医療センター 小児療育内科, 2.岐阜県総合医療センター 小児科, 3.神奈川県立こども医療センター 遺伝科, 4.神奈川県立こども医療センター 臨床研究所, 5.岐阜県総合医療センター 小児循環器内科)
症例は生後8か月の男児。出生後、両大血管右室起始症と診断され、肺動脈絞扼術が施行された。生後3か月頃から成長発達遅滞を認め、生後8か月時に原因精査目的に当科を受診した。受診時、体重 3100g (-6.7SD)、身長 59.2cm (-4.4SD)、頭囲 37.5cm (-5.2SD)と重度の成長障害を示し、未定頚であった。また、顔貌特徴(sparse hair、synophrys、thick eyebrows、long eyelashes、smooth philtrum、thin vermillion、micrognathia)を示した。血液検査で中枢性甲状腺機能低下症とIGF-1分泌不全(検出限界以下)を認め、レボチロキシンナトリウムの内服を開始した。頭部MRIは脳梁低形成を含む白質容量低下と下垂体低形成を認め、下垂体ホルモン分泌刺激試験を施行したが、甲状腺機能低下以外に明らかな異常は認めなかった。なお、IGF-1 generation試験でもIGF-1は検出されなかった。
原因精査目的に行った染色体検査では正常核型であり、Whole exome sequencingを行ったところ、コピー数解析により1.5Mbの3q22.1q22.3 欠失を検出した。Fluorescent in situ hybridizationにより、両親には認めないde novoの欠失であることが分かった。過去に同領域の欠失の報告はなかったが、その中に含まれるSTAG1は姉妹染色体の接着を担うcohesin複合体のcomponentをコードしており、ハプロ不全変異やミスセンス変異により多発奇形を伴う成長発達遅滞の原因となることが過去18例で報告されている。その中には、STAG1を含む微細欠失(200-500kb)の症例が4例含まれているが、いずれも本症例より欠失範囲が狭く、症状も明らかに軽症であった。本症例は、現在2歳4か月時点で体重 3350g (-6.5SD)、身長 63.6cm (-7.7SD)、未頚定と重度成長発達遅滞を示している。症状の強さが欠失領域に含まれる他の遺伝子のハプロ不全を原因とするのか、または他の原因遺伝子が存在するのかは現時点では明らかにできておらず、今後の検討が必要である。
原因精査目的に行った染色体検査では正常核型であり、Whole exome sequencingを行ったところ、コピー数解析により1.5Mbの3q22.1q22.3 欠失を検出した。Fluorescent in situ hybridizationにより、両親には認めないde novoの欠失であることが分かった。過去に同領域の欠失の報告はなかったが、その中に含まれるSTAG1は姉妹染色体の接着を担うcohesin複合体のcomponentをコードしており、ハプロ不全変異やミスセンス変異により多発奇形を伴う成長発達遅滞の原因となることが過去18例で報告されている。その中には、STAG1を含む微細欠失(200-500kb)の症例が4例含まれているが、いずれも本症例より欠失範囲が狭く、症状も明らかに軽症であった。本症例は、現在2歳4か月時点で体重 3350g (-6.5SD)、身長 63.6cm (-7.7SD)、未頚定と重度成長発達遅滞を示している。症状の強さが欠失領域に含まれる他の遺伝子のハプロ不全を原因とするのか、または他の原因遺伝子が存在するのかは現時点では明らかにできておらず、今後の検討が必要である。