講演情報
[P9-1]古典型様エーラス・ダンロス症候群9症例の臨床的・分子遺伝学的特徴
○山口 智美1,2,3, 山田 和夫4,5, 藤川 朝海3, 滝口 百合3, 松本 健一4, 古庄 知己1,2,3,6 (1.信州大学医学附属病院 遺伝子医療研究センター, 2.信州大学 医学部 遺伝医学教室, 3.信州大学 医学部 クリニカル・シークエンス学講座, 4.島根大学 総合科学研究支援センター 生体情報・RI実験部門, 5.島根大学 医学部 法医学講座, 6.信州大学 基盤研究支援センター)
遺伝性結合組織疾患であるエーラス・ダンロス症候群(Ehlers-Danlos Syndrome;EDS)は皮膚過伸展性、関節可動性亢進、各種組織の脆弱性を特徴とする疾患群で、症状および原因遺伝子に基づいて13の病型に分類される。臨床症状のオーバーラップした複数の病型の鑑別には次世代シークエンス(NGS)パネル解析が適しているが、古典型様EDSの原因遺伝子であるTNXBには近傍に偽遺伝子TNXAが存在するため、通常のNGS解析によるバリアント検出は困難である。また、診療現場での本病型の認知度が低いと考えられることから、診断されていない例が少なくないと予想される。
当センターでは、他の遺伝子と同時に解析でき、かつ、偽遺伝子TNXAとの間の非アレル間相同組換え由来の配列も検出できる独自のNGS検査法を開発した。本研究では、この方法を用いて9症例においてTNXBに両アレル性の病的バリアントを検出した。1症例において複数エクソンの欠失、1症例においてフレームシフトバリアント、3症例においてTNXA組換え由来バリアント、4症例においてnull(ナンセンスあるいはフレームシフト)バリアントおよびTNXA組換え由来バリアントが検出され、9症例中7症例がTNXA組換え由来のバリアントを有していることが確認された。血清が入手できた症例においては血清テネイシンの欠損が確認された。大多数の症例でEDSの特徴である関節可動性亢進、易出血性を認めた他、9症例中6症例にヘルニア、憩室炎、穿孔などの消化器関連症状を認めた。
遺伝学的検査においてはTNXA組換え由来のバリアントを検出することの重要性、管理においては消化器合併症のリスクを認識することの重要性が示された。
当センターでは、他の遺伝子と同時に解析でき、かつ、偽遺伝子TNXAとの間の非アレル間相同組換え由来の配列も検出できる独自のNGS検査法を開発した。本研究では、この方法を用いて9症例においてTNXBに両アレル性の病的バリアントを検出した。1症例において複数エクソンの欠失、1症例においてフレームシフトバリアント、3症例においてTNXA組換え由来バリアント、4症例においてnull(ナンセンスあるいはフレームシフト)バリアントおよびTNXA組換え由来バリアントが検出され、9症例中7症例がTNXA組換え由来のバリアントを有していることが確認された。血清が入手できた症例においては血清テネイシンの欠損が確認された。大多数の症例でEDSの特徴である関節可動性亢進、易出血性を認めた他、9症例中6症例にヘルニア、憩室炎、穿孔などの消化器関連症状を認めた。
遺伝学的検査においてはTNXA組換え由来のバリアントを検出することの重要性、管理においては消化器合併症のリスクを認識することの重要性が示された。