講演情報

[P9-3]次世代シーケンサーを用いたクリニカルシーケンスの診療体制の構築

佐藤 奈穂子1, 田中 真生2, 野本 順子2, 西垣 昌和1, 辻 省次1,2 (1.国際医療福祉大学 成田病院 遺伝子診断センター, 2.国際医療福祉大学 ゲノム医学研究所)
【背景】単一遺伝子疾患において遺伝学的検査による診断確定が可能な疾患が増加しておりクリニカルシーケンスの体制構築が望まれる。ゲノム医学研究所で衛生検査所の登録を取得し、 2021年11月に当センターにおけるクリニカルシーケンスを開始した。【目的】当センターでのクリニカルシーケンスの結果を解析する。【方法】各診療科からの遺伝学的検査依頼にて全エクソンシーケンス解析を行い、抽出された変異の解釈を院内のエキスパートパネルで検討後にレポートを発行し結果を開示している。症例ごとに対象の遺伝子を抽出し、ゲノム解析を行った。さらに、二次的所見の開示を希望する例には、American College of Medical Genetics and Genomicsが提唱する73遺伝子(ACMG SF v3.0 list)の解析を行った。遺伝カウンセリングは、検査前・検査結果の開示時に行っている。2021年11月から翌年5月に当センターで遺伝学的検査を行い、エキスパートパネルで解析結果を検討した16例について後方視的に分析した。【結果】対象の依頼科は眼科6例、循環器内科5例、血液内科2例、アレルギー膠原病内科、臨床腫瘍科、血管外科各1例。平均年齢52.7歳、男性6例女性10例。全例で診断目的の遺伝学的検査の結果(一次的所見)の開示希望あり、二次的所見の開示希望は15例(94%)であった。診断確定は5例(31%)であった。二次的所見として開示対象の変異を2例(12.5%)で認めた。【結論】多様な遺伝性疾患について診療科からの依頼にてゲノム解析を行い、結果の開示までの診療体制の整備がゲノム医療の推進に重要と考えられた。診断確定に至らなかった症例は、臨床診断の吟味、解析対象遺伝子の吟味、ショートリードシーケンサーでは検出困難な変異についての検討など、診断確定率のさらなる向上をめざす検討が求められる。