講演情報

[P9-5]非小細胞肺癌における遺伝子パネル検査の実態調査

竹下 純平1,2, 天野 佑美1,2, 十三 且也1,2, 古武 剛1,2, 舘 秀和3, 吉村 聡一郎4, 曽根 莉彩4, 嶋田 有里4, 田村 佳菜子4, 稲田 祐也4, 伊東 友好4, 吉村 誉史3, 柳原 一広1,2 (1.関西電力病院 腫瘍内科, 2.関西電力医学研究所 臨床腫瘍研究部, 3.関西電力病院 呼吸器外科, 4.関西電力病院 呼吸器内科)
非小細胞肺癌においてオンコマインDx Target TestマルチCDx またはAmoyDx肺癌マルチパネル IVDの2種の遺伝子パネル検査が一般市中病院で実施可能となった。非小細胞肺癌は診断時に進行期であることが多く、その為に検体確保から患者への遺伝子パネル検査の結果開示までに至る診療経過は、個々の症例において多様である。当院では、多様な患者の状況に対応できるように検査前から合同カンファレンスで症例の情報共有をしているが、そのような試みの有用性を検証した報告は少ない。そこで2020年6月から2022年6月までに当院で上記の2種の遺伝子パネル検査を行った非小細胞肺癌48例(局所限局期:16例、進行期:32例)において後ろ向きに実態調査を行った。検体採取の手段の内訳は、試験開胸または外科切除:16例、経気管支生検:13例、コアニードル生検(肺原発または肝転移または骨転移)7例、リンパ節生検:11例、セルブロック検体(胸水):1例であり、採取組織量を増やすためにコアニードル生検やリンパ節生検を積極的に実施している傾向にあった。DNAの品質不良例は3例、RNAの品質不良例は6例であったが87.5%の症例において遺伝子パネル解析は成功していた。遺伝子変異はEGFR:13例、KRAS:5例、BRAF:1例、MET:1例、融合遺伝子は、ALK:2例、ROS1:1例において認められた。全症例におけるTurn around timeの中央値は11日間であった。進行期の32例中、4例においては腫瘍進行が早く検査の結果を待たずに化学療法を開始しており、うち1例は検査結果を待たずに死亡していた。しかしながら検査結果到着から初回治療に要した期日の中央値は4日間で59.3%の症例が検査結果到着から7日以内に初回治療を開始できており、事前のカンファレンスは有用である可能性が示唆された。