講演情報
[P9-6]KMT2D遺伝子内のエクソン欠失による歌舞伎症候群の一例
○成戸 卓也1, 関 衛順2, 黒田 友紀子2, 齋藤 洋子2, 榎本 友美1, 黒澤 健司2 (1.神奈川県立こども医療センター 臨床研究所, 2.神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
症例は3歳男児で口唇口蓋裂術の既往があり発達遅滞、特異的顔貌所見、finger padより歌舞伎症候群を疑った。遺伝学的検査で歌舞伎症候群遺伝子検査を行った結果、KMT2D遺伝子のエクソン40からイントロン49までの6,853 bp欠失を検出した。両親と児でgDNAの定量をqPCR法で行い、エクソン40の後半、46、49で児のみに欠失を認めた。ロングPCRでの切断点の解析により、MMEJ(Microhomology-mediated End Joining)による欠失と推測された。この欠失によりエクソン40のエクソン途中からイントロン49を含むエクソン50までのDNA配列を使用したmRNAが生じていることが、全血を用いたRNA-seqで判明した。RT-PCRで変異のRNAを確認し、転写されるタンパクは異常終止コドン(Q3991Pfs*30)を生じることが予測され、歌舞伎症候群と診断した。(ACMGガイドライン2015:Pathigenic(PSV1+PS2+PM2+)) KMT2Dの病原性変異は1000を超える数がHGMDに登録されているが、エクソン内の重複は1例のみである。複数エクソンの欠失はエクソン40以降の遺伝子後半の欠失が報告されているのみである。KMT2D遺伝子においても構造的変異が歌舞伎症候群に関与することを同定した。