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[T10-O-2]Repeated coseismic fault slip and calcite sealing recorded in the fault rock in the aftershock area of the 2000 Tottori-ken Seibu earthquake

*Kiyokazu Oohashi1 (1. Geological Survey of Japan, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology)
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Keywords:

cataclasite,fault gouge,cataclastic flow,fault strength

断層岩の一種であるカタクレーサイトは,深さ数km〜10数kmの震源深度で形成された固結性を有する断層岩である(Sibson, 1977; Scholz, 1988).この領域において普段断層は固着して弾性ひずみを蓄え,地震時の破壊と引き続いて起こる摩擦すべりによって弾性ひずみを解放する.地震直後に固結性を失った破砕物は,その後再び固結することで強度を回復し,次の地震に向けて弾性ひずみを蓄えられるようになる.そのため,カタクレーサイトから地震性断層すべりとその後の固結過程を明らかにすることは,地震サイクル間に断層内部で起こる物理化学的プロセスを理解する上で極めて重要である.本研究では花崗岩由来の断層における素過程理解を目的に,“未成熟な断層”が分布するとされる2000年鳥取県西部地震余震域の断層岩を対象としている.

解析に用いた断層岩は,鳥取県西伯郡南部町の緑水湖西側に位置する露頭(相澤ほか, 2005; 鈴木ほか, 2016)から採取した.断層岩は試料スケールで固結性を有する部分(カタクレーサイト帯)と,それを貫く未固結で連続性の良いすべり帯(断層ガウジ帯)からなる.研磨片および薄片観察の結果,断層岩を以下の5つの要素に区分した.
(I) Weakly foliated cataclasite zone: 母岩の花崗岩に由来する石英長石質な破砕岩片からなり,特に強く細粒化した微小剪断帯と破砕流動が複合面構造(R1面とP面)を形成している.また,基質を充填する陰微晶質な炭酸塩鉱物や,T面方向の微小割れ目を方解石が充填する様子も認められる.方解石は破砕岩片としても含まれる.
(II) Ultracataclasite: 主に石英の微細な破砕岩片からなり,しばしば粘土鉱物を伴う.本要素は後述の(V)中に破砕岩片としてのみ含まれる.
(III) Calcite fault vein: (I)帯と(V)帯の境界に沿って厚さ数mmの脈として産する.結晶は等粒状の粗いポリゴナル組織を呈する.部分的に後述の(V)中に破砕岩片として含まれるほか,主脈から派生して(II)と(V)を切断する支脈も認められる.
(IV) Clay aggregate: 細粒粘土鉱物(イライト,緑泥石)の集合体.(III)に付随する形で不規則に分布する.
(V) Clay bearing cataclasite zone: 主に石英(一部,方解石)の破砕岩片からなるが,基質に少量の粘土鉱物(イライト,緑泥石)を有することで特徴づけられる.
(VI) Clayey gouge zone: 破砕岩片に乏しく,主にスメクタイトからなる幅1 mm程度のゾーン.直線性がよく,周囲の変形要素を切断する.

これらの切断・包有関係から考察される変形・鉱物形成順序は,以下の通りである.
(1) 方解石の析出を伴いながらWeakly foliated cataclasite zoneが形成.
(2) Ultracataclasiteの形成.
(3) Ultracataclasite に重複してClay-bearing cataclasiteの形成.
(4) 開口割れ目の形成と方解石および粘土鉱物(イライト,緑泥石)の析出(Calcite fault veinとclay aggregateの形成).(3)と(4)は繰り返す.
(5) Clayey gouge zoneの形成.
方解石の結晶形とClayey gouge zoneの高速すべり時の主剪断帯(principal slip zone)としての特徴から,(4)と(5)は地震性断層すべりの痕跡と考えられる.すなわち,本断層岩中には少なくとも2回の地震イベントと,その前後に起こった方解石によるシーリングを記録していると結論づけられる.

【文献】
相澤泰隆ほか (2005): 地質学雑誌, 111, 737-750.
Scholz,C.H. (1988): Geologische Rundschau, 77, 319-328.
Sibson, R.H. (1977): Journal of the Geological Society, London, 133, 191–213.
鈴木 俊ほか (2016): 日本地球惑星科学連合2016年大会講演要旨, SCG63-P39.

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