Presentation Information

[T7-O-8]2011March11 Off North East Arc Heisei MegaQuake M9.0 and Pacific Slab on upper surface of Lower Mantle, and SuperQuake along Chishima Trench.

*Nobuaki Niitsuma1 (1. Inst. GeoSci.Shizuoka Univ.,Sendai)
PDF DownloadDownload PDF

Keywords:

Off North East Arec Heisei MegaQuake,Benioff Curve,Hypocenter circle of seismic fault length,upper surface of Lower Mantle,SuperQuake along Chishima Trench

地震の規模と地震断層の長さとずれ幅(松田,1975)の積として算出される地震断層面積はPlate運動面積に対応させることができる(新妻,2007).地震断層長を直径とする円を震央地図・断面図・時系列図の震源位置に表示すると,Plate運動による歪の累積と地震断層による解放を定量的に検討できる.時系列図におけるPlate運動面積と地震断層面積を積算するPlate運動面積積算直線とBenioff曲線(http://www.niitsuma-geolab.net)を比較した2011年3月11日東北弧沖平成巨大地震についての解析結果を報告する. 1994年以降の気象庁による日本海溝域のCMT解について,Plate運動面積とBenioff曲線を比較すると,Plate運動面積の4倍以上が地震断層面積として開放されている(図1).その主歪軸傾斜方位は海溝軸面傾斜の島弧側とそれと逆向きの海洋側に集中している.島弧側傾斜の逆断層型地震は,Plate運動による座屈破壊の「座屈逆断層型」であり,海洋側傾斜の逆断層型地震は,既存境界面が摩擦によって固着している間に累積した剪断歪が解放された「剪断逆断層型」である.境界面を固着させている境界面に直交する抗力が境界面に沿うPlate運動の歪と合成されるので,剪断歪の傾斜方位は海洋側に逆転する.主圧縮P歪軸傾斜方位は,地震断層が初生か再活動であるかの判別に利用できる. 日本海溝域のCMT最大の東北弧沖平成巨大地震2011年3月11日M9.0は剪断逆断層型の典型であり,それに次ぐ2003年9月26日十勝沖M8.0も剪断逆断層型である.座屈逆断層型の最大は能登半島地震2024年1月1日M7.5である.Benioff曲線は,2003年十勝沖地震までのPlate運動面積M8.1に対し累積地震断層面積はΣM7.6と4分の1にすぎなかった. Benioff曲線における2003年十勝沖M8.0の段差は1994年以降剪断歪として累積していた歪の解放に対応するが,それ以後のPlate運動累積直線に沿う増大は,順次増大するPlate運動歪が累積することなく地震活動として開放されていたと考えられていた.しかし,Plate運動累積の数倍に及ぶ2011年3月11日M9.0の巨大な段差が現れ,その後もPlate運動累積直線と平行に増大していることが明らかになった. 日本海溝域の江戸幕府以降のBenioff曲線を検討すると,その数百年間のPlate運動面積規模はM9.5で,2011年3月11日東北弧沖平成巨大地震M9.0を含む地震活動によってほぼ解放されている.1900年から2000年まではBenioff曲線傾斜がPlate運動累積直線より大きくなっているが,1900年以前はPlate運動累積直線よりはるかに緩い傾斜で,その間の300年間に平成巨大地震で解放された歪も何処かに累積していたのであろう.ただし,平成巨大震源域のPlate境界面は当時から固結を貫いていたと考えられる. 歪累積の候補として日本海溝から深度700㎞のAsia大陸東縁のVladivostokまで続く深発地震面(Wadati,1935)を挙げることができる. 深発地震面最大のM7.0級の震源は,下部Mantle上面とされる660㎞相転移面付近に分布している.海洋底で冷却されて低温なSlabは,周辺のMantleより660㎞相転移面を通過し難いため,行手を拒まれ座屈破壊を起こすことが予想される. 平成巨大震源域のPlate境界は数百年間固着を保っていれば,日本海溝軸は25m島弧側に後退するであろう.太平洋Slab先端は下部Mantle上面での座屈により1994年7月22日から2010年2月18日までに2m程短縮して対応したが,その10日後に日本海溝沖で2010年2月28日M5.3Pが起こり,Plate運動による歪の日本列島側での対応は破綻し,沈込前の海洋底の短縮破壊に及んだことを示している. 千島海溝域の1922年以降のBenioff曲線には,ほほ平坦な静穏期とPlate運動面積積算直線にほほ並行する活動期が交互に繰り返している.第1活動期は1952年11月M8.2から1971年12月M7.8で,第2活動期は1993年1月M7.5から2013年5月M8.3であり,その間の21年間が静穏期になっている.今年2024年は第2活動期末の静穏期入から10年を経過し,数年内に第3活動期に入ることが予想される.下部Mantle上面付近の地震も起こっていることから,得撫島等の千島列島中央部でM8級の巨大地震に警戒が必要である. 松田時彦(1975)活断層から発生する地震の規模と周期について.地震第2輯,28,269-283.新妻信明(2007)プレートテクトニクス―その新展開と日本列島―.共立出版,292p.Wadati, K. (1935) On the activity of deep-focus earthquakes in the Japan Islands and neighborhoods. Geophysical Magazine, 8, 305-325.

Comment

To browse or post comments, you must log in.Log in