Presentation Information
[T15-O-9]Stratigraphy and geologic structure around of the Yuhinotaki Fault in Minamiashigara City, Kanagawa Prefecture
*Umi HATTORI1, Shinichiro NARAZAKI1, Hiroki HAYASHI2, Kei ODAWARA3 (1. Graduate School of Natural Science and Technology,Shimane Univ., 2. Shimane Univ., 3. HSRI, Kanagawa Pref.)
【ハイライト講演】神奈川県西部は本州弧と伊豆-小笠原弧の衝突帯に位置し,多くの活構造が存在する.夕日の滝断層は,この地域を規制する大きな(活)断層である平山断層の分岐断層と推定とされていたところであるが今回,断層露頭を発見し,断層岩の採取・分析を行った.結果,平山断層とは異なる特徴が見出され,異なる活動史が推定できそうである.このことは衝突帯の第四紀テクトニクスを理解するうえで重要である.(ハイライト講演とは...)
Keywords:
Ashigara Group,Hirayama Fault,Minamiashigara City,Kanagawa Prefecture
日本の本州南中央部,神奈川県西部から静岡県東部にかけての地域は本州弧と伊豆弧の衝突帯であり,活断層が多く分布している.また,神奈川県南足柄市から山北町にかけての地域は,平山-松田北断層帯が分布している.政府の地震調査委員会による平山-松田北断層帯の長期評価(地震調査委員会,2015)によると,この断層帯が一つの区間として活動する場合,M6.8程度の地震が発生する可能性が示唆されている.夕日の滝断層は今永(1976)によって初めて報告され,天野ほか(1986),狩野ほか(1984), Imanaga(1999)等によれば東西方向で南傾斜の高角正断層とされている.先述の平山-松田北断層帯の長期評価では,平山断層から分岐する断層として図示されている.これらの先行研究に基づくと,本地域には,足柄層群の瀬戸層,畑層,塩沢層,そしてそれらを不整合に覆う箱根古期外輪山噴出物の狩川溶岩グループが分布し,先述の平山断層と夕日の滝断層の他,内川断層と定山断層と呼ばれる推定断層に切られている.本研究では,南足柄市地蔵堂地域の夕日の滝断層周辺で,詳細な地質調査を実施した.本研究では夕日の滝断層の断層露頭を発見し,断層岩の採取を行った.採取した断層岩の薄片観察を行った結果,垂直方向の薄片から正断層センス,水平方向の薄片からは左横ずれセンスを示す複合面構造が確認され,夕日の滝断層が左横ずれ成分をもつ正断層であることが明らかになった.また,断層面の走向傾斜と条線から東西圧縮の応力場が復元されたが,これは平山断層のすべり方位解析に基づく南北圧縮応力場や,周辺の足柄層群および箱根古期外輪山噴出物の分布域における小断層解析から復元される北北西-南南東圧縮応力場とも異なる結果となった.さらに,夕日の滝断層の断層ガウジおよび母岩試料に対し,粉末XRD分析を行った結果,ガウジの試料から母岩に起因するスメクタイトおよび緑泥石が検出されたものの,高温の熱水変質を示唆する粘土鉱物は検出されなかった.大川・小林(2007)によれば、平山断層系の断層では断層活動に伴う熱水による熱水変質が報告されている.以上の結果を総合すると,夕日の滝断層は平山断層とは異なるステージに形成された可能性があるものと考える.本講演では,以上の結果に加え,火山灰分析や有孔虫化石分析の結果についても報告する.
引用文献:天野ほか (1986)北村信教授記念地質学論文集,7-29;今永 (1976)神奈川県博研報(自然),9, 77-84;Imanaga (1999) Bull. Kanagawa Pref. Mus. Nat. Sci., 28, 73-106;地震調査委員会 (2015) 塩沢断層帯・平山 - 松田北断層帯・国府津 - 松田断層帯 ( 神縄・国府津 - 松田断層帯 )の長期評価 ( 第二版 ),地震調査研究推進本部地震調査委員会;狩野ほか(1984)第四紀研究, 23, 137-143;大川・小林(2007) 神奈川県温泉地学研究所報告, 39, 43-56
引用文献:天野ほか (1986)北村信教授記念地質学論文集,7-29;今永 (1976)神奈川県博研報(自然),9, 77-84;Imanaga (1999) Bull. Kanagawa Pref. Mus. Nat. Sci., 28, 73-106;地震調査委員会 (2015) 塩沢断層帯・平山 - 松田北断層帯・国府津 - 松田断層帯 ( 神縄・国府津 - 松田断層帯 )の長期評価 ( 第二版 ),地震調査研究推進本部地震調査委員会;狩野ほか(1984)第四紀研究, 23, 137-143;大川・小林(2007) 神奈川県温泉地学研究所報告, 39, 43-56
Comment
To browse or post comments, you must log in.Log in