Presentation Information
[T7-P-7]Active Structures off Muroto-Ashizuri Peninsulas based on seafloor topography and subsurface structures
*Konosuke TERUI1,2, Juichiro Ashi1,2 (1. Graduate School of Frontier Science, University of Tokyo, 2. Atmosphere and Ocean Research Institute, The University of Tokyo)
Keywords:
Nankai Trough,Active Fault,Strike-slip Fault,Submarine Canyon,Sub-bottom Profiler,Multi Channel Seismic Survey
南海トラフでは,プレート境界型巨大地震が100 ~ 200 年の周期で発生することが知られる.プレート境界型地震は,強震動や津波による被害と同時に,沿岸域の地形に大きな影響を与える.例えば室戸岬では,1946 年南海地震により 1.2 m 隆起しており,周期的な地震によって平均 2 mm/y の隆起が見積もられた(吉川ほか, 1964, 地理評).一方,室戸岬の潮間帯に生息した付着生物群体を用いた研究では,完新世の隆起の累積におけるプレート境界型地震の寄与は小さく,1000~2000 年ごとの2~4 m の間欠的隆起の影響が支配的であると報告された(前杢, 2001, 地学雑).この間欠的隆起の原因は陸に近い海域の断層の可能性が指摘されており(前杢, 2006, 地学雑),地殻変動から南北走向・西傾斜の断層が室戸半島およびその沖に推定されること (Matsu'ura, 2015, Geomorphology)や,海域の室戸岬から南に伸びる海脚と西南西方向の外縁隆起帯からなる逆L字型隆起帯(粟田・杉山, 1989,地震)の存在と矛盾しない.
上で述べたように,室戸-足摺沖はプレート境界の巨大地震に加えて,陸側プレート内の活構造の影響を受けている可能性が高い.プレート境界断層については地下構造や深海掘削,海底地震計を用いた研究が多く行われているが,より陸側の外縁隆起帯や前弧海盆の断層・褶曲の研究は非常に限られる.本研究では,室戸-足摺沖の陸側プレート内の断層に着目し,マルチチャネル反射法地震探査(以下MCS)データとサブボトムプロファイラ(以下SBP)記録を用いて,地質構造を明らかにし海底変動の履歴の推定を目的とする.これまで注目されてきたプレート境界地震に対して,同様に甚大な被害が想定される陸に近い断層活動の理解を深め,地震災害軽減に有用な情報の提供を目指す.
SBP,MCS,海底地形の3種のデータを用いた. SBP記録は,白鳳丸KH-15-2, KH-16-5次航海で取得されたものを用いた.同航海ではSBPを無人探査機NSSに搭載し,海底面上15 m前後で探査することにより,高解像度の浅部地下構造記録が取得されている.MCS データは,Pre-Stack Time Migration されたものを海洋研究開発機構(JAMSTEC)から提供を受け,AspenTech 社製解析ソフト「Paradigm Echo」により解析を行った.海底地形データは JAMSTECの研究航海で取得された,グリッド間隔 0.002°のデータの提供を受けた.
海底地形には,地形的高まり,海底谷,さらに様々な海底地形を横断する直線的な構造(リニアメント)が認められる.リニアメントは外縁隆起帯に位置し,東北東-西南西方向の走向を持つ.一部のリニアメントは海底谷や地形的高まり上を伸びており,しばしば同方向に伸長した凹地を伴う.足摺海底谷では,東側の谷壁が直線的で西側の谷壁がクランクを示す地点があり,リニアメントを挟んで右横ずれで流路が変遷してきたことが示唆される.また,海底谷がリニアメントを横断する地点では,海底谷に落差が認められ,下流側にplunge pool(滝壺)が発達する.足摺海底谷と交差するリニアメントについて, MCS データから高角の断層が発達していることが認められる.また,断層にともなう堆積層の変形が海底面まで及んでいることが分かった.
本研究により,室戸-足摺沖の外縁隆起帯付近には東北東-西南西走向のリニアメントが多数分布し,一部で右横ずれ成分を持つ断層の発達が明らかになった.これらの断層は室戸岬に続く南北性の隆起帯に連続することから,室戸岬の隆起は粟田・杉山(1989)の提唱する逆L字型の活構造により起きている可能性が高い.
上で述べたように,室戸-足摺沖はプレート境界の巨大地震に加えて,陸側プレート内の活構造の影響を受けている可能性が高い.プレート境界断層については地下構造や深海掘削,海底地震計を用いた研究が多く行われているが,より陸側の外縁隆起帯や前弧海盆の断層・褶曲の研究は非常に限られる.本研究では,室戸-足摺沖の陸側プレート内の断層に着目し,マルチチャネル反射法地震探査(以下MCS)データとサブボトムプロファイラ(以下SBP)記録を用いて,地質構造を明らかにし海底変動の履歴の推定を目的とする.これまで注目されてきたプレート境界地震に対して,同様に甚大な被害が想定される陸に近い断層活動の理解を深め,地震災害軽減に有用な情報の提供を目指す.
SBP,MCS,海底地形の3種のデータを用いた. SBP記録は,白鳳丸KH-15-2, KH-16-5次航海で取得されたものを用いた.同航海ではSBPを無人探査機NSSに搭載し,海底面上15 m前後で探査することにより,高解像度の浅部地下構造記録が取得されている.MCS データは,Pre-Stack Time Migration されたものを海洋研究開発機構(JAMSTEC)から提供を受け,AspenTech 社製解析ソフト「Paradigm Echo」により解析を行った.海底地形データは JAMSTECの研究航海で取得された,グリッド間隔 0.002°のデータの提供を受けた.
海底地形には,地形的高まり,海底谷,さらに様々な海底地形を横断する直線的な構造(リニアメント)が認められる.リニアメントは外縁隆起帯に位置し,東北東-西南西方向の走向を持つ.一部のリニアメントは海底谷や地形的高まり上を伸びており,しばしば同方向に伸長した凹地を伴う.足摺海底谷では,東側の谷壁が直線的で西側の谷壁がクランクを示す地点があり,リニアメントを挟んで右横ずれで流路が変遷してきたことが示唆される.また,海底谷がリニアメントを横断する地点では,海底谷に落差が認められ,下流側にplunge pool(滝壺)が発達する.足摺海底谷と交差するリニアメントについて, MCS データから高角の断層が発達していることが認められる.また,断層にともなう堆積層の変形が海底面まで及んでいることが分かった.
本研究により,室戸-足摺沖の外縁隆起帯付近には東北東-西南西走向のリニアメントが多数分布し,一部で右横ずれ成分を持つ断層の発達が明らかになった.これらの断層は室戸岬に続く南北性の隆起帯に連続することから,室戸岬の隆起は粟田・杉山(1989)の提唱する逆L字型の活構造により起きている可能性が高い.
Comment
To browse or post comments, you must log in.Log in