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[T7-P-11]Structure and evolution of faults of the Nambayama Anticline based on fault-related fold modeling, Northern Fossa Magna, central Japan★「日本地質学会学生優秀発表賞」受賞★

*Naoki ITO1, Tatsuya ISHIYAMA1 (1. Earthquake Research Institute, Univ. of Tokyo)
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Keywords:

Fault-related fold,Balanced cross-section,Northern Fossa Magna,Nambayama Anticline

東北日本と西南日本の境界部に位置する北部フォッサマグナ地域は,中新世の日本海拡大に伴い形成されたリフト盆地であり,鮮新世以降の圧縮テクトニクスによって大規模な短縮変形を被った地域である.北部フォッサマグナ地域では厚さ6 km(石油公団, 1996c)を超える厚い堆積物が,この地域で最大の軸長を持つ難波山背斜に代表される褶曲構造に参加しているが,この褶曲構造を浅部〜深部の断層構造と結びつけて説明した構造発達モデルは提案されていない.そこで,本研究では,地質・地球物理学的データを用いて,難波山背斜を形成した断層構造を推定する目的で,断層関連褶曲モデル(例えば,Suppe, 1983;Allmendinger, 1998)に基づく地質構造解析を行った.解析の際には,地表地質データ(例えば,赤羽・加藤,1989)・反射法地震探査データおよび坑井データ(石油公団,1989;1991a;1991b;1993a;1993b;1996a;1996b;1996c)を取りまとめ,背斜軸に直交する測線でバランス断面図(Woodward et al., 1989)を作成した.測線は,約8.0 – 2.4 Maの下位から能生谷層・川詰層・名立層が参加する構造を対象とした北測線と,約12.5 – 3.9 Maの下位から七谷層・難波山層・能生谷層が参加する構造を対象とした南測線の2本からなる.

バランス断面図の推定は以下の手順で行った:まず,走向傾斜データや断面線近傍の反射法地震探査断図を断面線に投影し,褶曲軸の位置および形状を推定した.次に,推定された褶曲軸に基づいて,表層地質の分布・測線と反射法地震探査測線との交線における反射面の深度・測線上の坑井データから地層境界の形状を推定し,侵食域を含む褶曲構造断面を推定した.次いで,断層関連褶曲モデルに基づき,得られた褶曲構造断面を説明する断層の形状を考察した.その後,地層の面積・地層境界の線長・断層の変位に矛盾なく短縮変形前の状態の堆積盆の構造を復元できるよう,フォワードモデリングで褶曲軸・地層境界の形状・断層の形状の修正を繰り返し,構造断面に対して最適な断層形状を推定した.

北測線では,難波山背斜を形成した断層は,背斜東翼の地層の傾斜の変化から,深度約4.0 km以深では傾斜角約20°,深度約1.5〜4.0 kmでは傾斜角約50°の東傾斜の伏在逆断層と推定される.難波山背斜の西翼で能生谷層上部および川詰層がほぼ垂直に傾斜することから,断層は深度約1.5 kmでほぼ水平に折れ曲がり,西方へ伸びていると推定される.断層の活動時期は,名立向斜西翼の名立層が成長層と考えられることから,川詰層堆積後の3.2 Ma以降と考えられる.また,断層の深部延長については,高田平野下に推定される東傾斜の伏在逆断層が収斂していると考えられる.この伏在逆断層は,高田平野下の堆積層の水平方向の変化から,約6.5 – 5.0 Maにおいて単独で活動したと推定される.なお,高田平野の西縁に位置する西傾斜の活断層帯であると推定されている高田平野西縁断層帯(地震調査研究推進本部,2009)の地表トレースは,断面図上では難波山背斜東翼部に位置するが,本研究で推定した断層との関係については今後検討の必要がある.

 文献
Allmendinger, R. W. (1998). Inverse and forward numerical modeling of trishear fault-propagation folds, Tectonics 17, 640–656.
赤羽貞幸・加藤碵一(1989).高田西部の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,89p.
地震調査研究推進本部(2009).高田平野断層帯の長期評価,31p,http://www.jishin.go.jp/main/index.html,2024年6月11日閲覧.
石油公団(1989).昭和63年度国内石油・天然ガス基礎調査陸上基礎物理探査「新井〜中子地域」調査報告書.
石油公団(1991a).平成元年度国内石油・天然ガス基礎調査陸上基礎物理探査「頚城〜能生地域」「中頚城地域」調査報告書.
石油公団(1991b).平成2年度国内石油・天然ガス基礎調査陸上基礎物理探査「上越地域」調査報 告書.
石油公団(1993a).平成4年度国内石油・天然ガス基礎調査陸上基礎物理探査「上越地域」調査報告書.
石油公団(1993b).平成4年度国内石油・天然ガス基礎調査陸上基礎物理探査「新潟〜富山浅海地域」調査報告書.
石油公団(1996a).平成6年度国内石油・天然ガス基礎調査基礎試錐「富倉」調査報告書.
石油公団(1996b).平成7年度国内石油・天然ガス基礎調査基礎試錐「西頚城」調査報告書.
石油公団(1996c).平成7年度国内石油・天然ガス基礎調査陸上基礎物理探査「西頚城」調査報告書.
Suppe, J. (1983). Geometry and kinematics of fault bend folding. Am. J. Science., 283, 684-721.
Woodward, N.B, Boyer, S.E. and Suppe, J. (1989). Balanced geological cross-sections: An essential technique in geological research and exploration. Short Course in Geology, AGU, Vol. 6, 132 p.

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