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[G-P-21]Stratigraphy and volcanic succession of the Yugamine rhyolite in Gero city

*Kuniyuki Furukawa1, Yoshitoshi Hirai2, Atsushi Uemine3, Motohiro Tsuboi4 (1. Aichi Univ., 2. Miyoshi city board of education, 3. Nanzan Univ., 4. Kwansei Gakuin Univ.)
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Keywords:

Rhyolite,Obsidian,FTIR,Yugamine

<はじめに> 岐阜県下呂市の湯ヶ峰 (標高1066.9m)は、0.102±0.006のK-Ar年代 (Matsumoto et al., 1989)を示す黒雲母流紋岩から構成されている (湯ヶ峰流紋岩; 山田ほか, 1992)。湯ヶ峰流紋岩中には黒曜石が特徴的に産出し、先史時代には石器石材として中部地方を中心に流通していた。湯ヶ峰流紋岩の分布や産状などの基本的な火山地質については、岩田・石原 (1988)において検討されている。溶岩の露出面積1km2以下、層厚300m程度の小規模な岩体で、複数枚の溶岩から構成されている。本研究では湯ヶ峰流紋岩の層序を明らかにし、観察事例の少ない流紋岩マグマの噴火推移を考察する。<地質調査結果> 湯ヶ峰は山頂周辺の長径約500m、比高約100mのドーム状の地形と、その南に約400mに渡って拡がる平坦な地形が特徴的である。ドーム部分は層厚約170mの湯ヶ峰溶岩 (平井ほか, 2024)で構成されており (岩田・石原, 1988; 石崎・安江, 1998)、湯ヶ峰の主要部をなしている。湯ヶ峰溶岩の内部構造はドーム部分西斜面で露出が良く、上位から多孔質流紋岩、上部黒曜石、縞状流紋岩、下部黒曜石に岩相区分される (石崎・安江, 1998)。これは一般的な流紋岩溶岩の内部構造と調和的である。またドーム部分の周縁部に沿って多孔質流紋岩や角礫化した黒曜石が分布しており、ドーム部分は同心円状に構造が発達していると考えられる。またその湯ヶ峰溶岩はドーム部分だけではなく南の平坦部に連続している。湯ヶ峰溶岩の基底部は北側ドーム部分および南側平坦部の両方で確認でき、ともに標高約890mで調和的である。つまり湯ヶ峰溶岩は、現在の山頂付近から南方に流動して溶岩台地を形成し、最後にドーム状地形を形成して噴出が終了したと考えられる。湯ヶ峰溶岩の直下には層厚10m以上の凝灰角礫岩から成る火砕岩層が分布する。さらにその下位には岩田・石原 (1988)により層厚約40mの流紋岩溶岩が確認されているが、本研究では発見できなかった。標高690-750m辺りには主に多孔質流紋岩から成る溶岩が分布しており、その下位に凝灰角礫岩から成る層厚20mほどの火砕岩層を確認できた。この火砕岩層は基盤岩である濃飛流紋岩と標高690mで接しており、湯ヶ峰の活動の最初期であることがわかる。また山頂の北西約560mの位置には、標高710-750mの範囲で、直立する流理を示す脈状の縞状流紋岩が分布している。この岩体の側面には複数の鉛直方向の溝状構造が多数確認できる。<含水量分析> 湯ヶ峰溶岩から3試料、標高710-750mの脈状の縞状流紋岩、そして最下位の火砕岩中に含まれる黒曜石片2試料の含水量をFTIR分析により求めた。その結果、湯ヶ峰溶岩は全試料0.15 wt.%、縞状流紋岩は0.68 wt.%、火砕岩中の黒曜石片は0.52と1.03 wt.%であった。メルトに溶存する含水量は圧力に依存するため、これらの値から静岩圧での深度を求めると、湯ヶ峰溶岩は地表、縞状流紋岩は約160m、火砕岩中の黒曜石片はそれぞれ約90m、370mとなる。<議論> 湯ヶ峰は主に、最上部の湯ヶ峰溶岩を含め最低でも合計3枚の溶岩から構成されることがわかった。ただし湯ヶ峰溶岩の直下の溶岩は確認できなかった。また湯ヶ峰溶岩と最下位の溶岩の直下には火砕岩層があることから、溶岩の噴出に先行して爆発的な活動があったと考えられる。標高710-750m の縞状流紋岩は地下約160mで形成されたことや脈状の分布から岩脈であると考えられる。側面に発達する溝状構造は火道を上昇する時に形成されたスリッケンラインだと考えられる。また最下位の火砕岩中に含まれる黒曜石片は含水量から、地表に噴出した溶岩を破壊したものではなく、地下のマグマを破砕したものである。これらの黒曜石片はWadsworth et al. (2020)のように、火道内部でのマグマの爆発により火道壁にマグマが付着し、それらがその後の爆発により侵食されて火砕岩中に混入したものだと考えられる。<引用文献> 平井ほか (2024) 旧石器研究. 岩田・石原 (1988) 『飛騨の大地をさぐる』. 石崎・安江 (1998) 地質学会第105年大会. Matsumoto et al. (1989) 地質調査研究報告. Wadsworth et al. (2020) Science Advances.

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