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[T17-O-2]Distribution and internal physical properties of mud volcanoes in Hyuga-nada inferred from active-source seismic data

*Ryuta Arai1, Kazuya Shiraishi1, Yasuyuki Nakamura1, Gou Fujie1, Arata Kioka2, Masataka Kinoshita3, Rina Fukuchi4 (1. JAMSTEC, 2. Faculity of Engineering Univ Tokyo, 3. ERI Univ Tokyo, 4. Naruto Univ of Educational)
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Keywords:

Hyuga-nada,Mud volcano,Seismic survey,Methane

海底の泥火山は沈み込み帯の前弧域によく見られる地形的特徴であり、地殻深部から上昇してきた流体や炭化水素ガスを放出することから、海底下の水理特性を知る上で重要な手がかりとなる。日向灘海域では、Ujiie (2000)の海底調査以降、多数の海底泥火山が報告されており、泥火山から噴出される流体の起源等に関する議論が盛んに行われてきた。例えば、Ijiri et al. (2023)は、泥火山から採取したコアサンプルを用いた地球化学分析に基づき、地殻浅部での粘土鉱物の脱水反応だけでなく、地殻深部から上昇してきた流体も泥火山の形成に寄与している可能性を指摘している。また、Arai et al. (2023)は地震波速度の詳細なイメージングによって、泥火山直下に発達する低速度帯が深さ10-13 kmのプレート境界まで鉛直に伸びていることを明らかにし、こうした上盤プレート内の破砕帯を経路として流体が移動し泥火山の形成に至ることを示した。さらに、Asada et al. (2023)は、宮崎県東方沖の海底地形および地震波反射法データに基づき、数十の泥火山を新たに報告している。しかし、日向灘海域全体にわたる泥火山の分布はまだ完全に把握されておらず、泥火山内部の物性についても不明な点が多く残されている。
 本研究では、日向灘海域における泥火山の広域的な分布と内部物性を明らかにするため、海洋研究開発機構がこれまでに取得した合計30測線の反射法探査データを精査した。その結果、泥火山特有の堆積層に貫入した透明な筒状体をなすダイアピル構造を新たに50以上検出した。これらの中には、海底に海丘を作る通常の泥火山だけでなく、海底まで達していないものや、かつて海底まで達したもののその後の堆積によって埋没したと考えられるものも多数含まれている。Asada et al. (2023)が報告している泥火山および今回我々が検出したダイアピル構造は、前弧の先端部(海溝軸から約50 km以内)には存在せず、沈み込む海山より前縁側(陸側)により多く分布している。この分布の偏りは、沈み込む海山が作り出す圧縮応力場によって沈み込むプレートからの水やメタンガスの放出が促進されているためと考えられる。また、Arai et al. (2023)による地震波速度モデルを用いて、海底まで露出しているダイアピルと堆積層内に埋もれているダイアピルの内部の速度を比較したところ、後者が海底下2 km以深において有意に低速度であることがわかった。この結果から、海底まで露出したダイアピルでは地下の流体やガスの海中への放出が進行する一方で、埋没したダイアピルではそれらの排出が抑制され、海底下にガスが濃集している可能性が示唆される。現在、地震波速度データからダイアピル内部のガス濃度の定量的な推定を試みている。

引用文献
Asada et al. (2023) Front Earth Sci, 11, 1232302
Arai et al. (2023) Nature Com, 14, 5101
Ijiri et al. (2023) Front Earth Sci, 11, 1206810
Ujiie (2000) Marine Geology, 163, 149-167

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