Presentation Information
[T1-O-12]Introduction and some practical tips for users of automatic peak deconvolution codes to estimate the maximum temperature experienced by rocks from Raman spectra of carbonaceous material
*Shunya Kaneki1, Yui Kouketsu2, Mutsuki Aoya3, Yoshihiro Nakamura1, Simon R Wallis4, Yusuke Shimura1, Ken Yamaoka1 (1. National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 2. Nagoya University, 3. Tokushima University, 4. The University of Tokyo)
Keywords:
Carbonaceous material,Raman spectroscopy,Automatic peak deconvolution,Geothermometer
岩石が過去に経験した最高被熱温度は、地球内部の続成・変成過程を調べる上で重要な情報である。炭質物は、堆積物やそれら由来の堆積・変成岩中に広く存在し、歪の影響が無い場合は被熱履歴に応じてその熟成度を不可逆的に変化させるため、有効な温度指標として用いられてきた。熟成度の評価方法の一つとして、ラマン分光分析がある。Beyssac et al. (2002)は、炭質物ラマンスペクトル中の特定のピークの面積比(R2比)と過去の最高被熱温度の関係が線形モデルで説明できることに着目し、世界初となる炭質物ラマン温度計を報告した。彼らの研究を皮切りに、今日に至るまで多くの炭質物ラマン温度計が報告されており、中でもKouketsu et al. (2014)とAoya et al. (2010)(以降、K2014とA2010)の温度計は、共に532 nmという一般的なレーザー波長を用いており、それぞれ150-400 degree Cの低〜中結晶化度および340-655 degree Cの中〜高結晶化度の炭質物に適用可能な温度計として広く用いられている。これら二つの温度計は、それぞれD1もしくはD2バンドの半値幅(K2014)およびR2比(A2010)を温度に換算するため、測定したラマンスペクトルに対してピーク分離を行う必要がある。しかし、非線形逆解析における初期値を解析者の主観で設定していたため、得られる結果が解析者に依存し、また初期値の設定に膨大な時間と労力が必要という問題があった。
この問題を解決するため、我々は炭質物ラマンスペクトルのピーク分離を自動で行うコードの開発に取り組んできた。その結果、Kaneki & Kouketsu (2022)(以下、KK2022)ではD1およびD2バンドの半値幅を、Kaneki et al. (2024)(以下、K2024)ではR2比を、それぞれ自動計算するコードの開発に成功した。開発した二つのコードを用いて、K2014とA2010が温度計を開発するために測定したデータセットをそれぞれ再解析したところ、先行研究と概ね調和的な結果を得た。自動解析データについてデミング回帰を行うことで検量線の係数を再決定し、予測誤差の計算と合わせてコードに実装した。また、開発した二つのコードは、それぞれK2014とA2010以外のデータセットにも適用可能であることを確認した。KK2022とK2024のコードの使い分け基準としては、K2024のコードを用いて計算したR2比が0.57を超えているか否かが有用である。R2比が0.57以下であればK2024のコードを用いてR2比から温度を推定し、逆に0.57を超えていればKK2022のコードを用いてD1バンドの半値幅から温度推定を行うことを推奨している。本発表では、主にコードの概要の紹介および実践的な使用に際しての留意点について発表する他、時間が許せばコードによる自動解析を実演する予定である。
開発したコード
半値幅に基づく自動解析コード(Kaneki & Kouketsu, 2022):https://doi.org/10.5281/zenodo.5851826
R2比に基づく自動解析コード(Kaneki et al., 2024):https://doi.org/10.5281/zenodo.10237726
参考文献
Aoya et al. (2010) https://doi.org/10.1111/j.1525-1314.2010.00896.x
Beyssac et al. (2002) https://doi.org/10.1046/j.1525-1314.2002.00408.x
Kaneki & Kouketsu (2022) https://doi.org/10.1111/iar.12467
Kaneki et al. (2024) https://doi.org/10.1186/s40645-024-00637-8
Kouketsu et al. (2014) https://doi.org/10.1111/iar.12057
この問題を解決するため、我々は炭質物ラマンスペクトルのピーク分離を自動で行うコードの開発に取り組んできた。その結果、Kaneki & Kouketsu (2022)(以下、KK2022)ではD1およびD2バンドの半値幅を、Kaneki et al. (2024)(以下、K2024)ではR2比を、それぞれ自動計算するコードの開発に成功した。開発した二つのコードを用いて、K2014とA2010が温度計を開発するために測定したデータセットをそれぞれ再解析したところ、先行研究と概ね調和的な結果を得た。自動解析データについてデミング回帰を行うことで検量線の係数を再決定し、予測誤差の計算と合わせてコードに実装した。また、開発した二つのコードは、それぞれK2014とA2010以外のデータセットにも適用可能であることを確認した。KK2022とK2024のコードの使い分け基準としては、K2024のコードを用いて計算したR2比が0.57を超えているか否かが有用である。R2比が0.57以下であればK2024のコードを用いてR2比から温度を推定し、逆に0.57を超えていればKK2022のコードを用いてD1バンドの半値幅から温度推定を行うことを推奨している。本発表では、主にコードの概要の紹介および実践的な使用に際しての留意点について発表する他、時間が許せばコードによる自動解析を実演する予定である。
開発したコード
半値幅に基づく自動解析コード(Kaneki & Kouketsu, 2022):https://doi.org/10.5281/zenodo.5851826
R2比に基づく自動解析コード(Kaneki et al., 2024):https://doi.org/10.5281/zenodo.10237726
参考文献
Aoya et al. (2010) https://doi.org/10.1111/j.1525-1314.2010.00896.x
Beyssac et al. (2002) https://doi.org/10.1046/j.1525-1314.2002.00408.x
Kaneki & Kouketsu (2022) https://doi.org/10.1111/iar.12467
Kaneki et al. (2024) https://doi.org/10.1186/s40645-024-00637-8
Kouketsu et al. (2014) https://doi.org/10.1111/iar.12057
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