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[T1-O-16]A study of granulite facies metamorphism in the southern part of Hidaka metamorphic belt, Hokkaido, Japan.

*Rintaro FUKUTA1, Tsuyoshi TOYOSHIMA1, Hayato UEDA1, Madhusoodhan Satish-Kumar1, Yasuhito OSANAI2, Krishnan SAJEEV3 (1. Niigata University, 2. Kyushu University, 3. Indian Institute of Science, Bangalore)
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Keywords:

Granulite,Metamorphic rock,Zircon U-Pb age,Hidaka Metamorphic Belt,Horoman peridotite,Island arc crust,Mt. Apoi UNESCO Global Geopark

日高帯南部に分布する日高変成帯は,新生代に形成された若い島弧地殻であり,島弧地殻の形成・成長過程の解明を目的に活発に研究されてきた.従来,日高変成帯は白亜紀以降の一度の熱イベントで形成された下部〜上部地殻の衝上断片であるとされてきた(小松ほか, 1982など).しかし,ジルコンU-Pb年代測定による研究が進み,日高変成帯が2回あるいは複数回の熱イベントで形成されたこと(Kemp et al., 2007;菅野・豊島,2019;菅野,2021MSなど)や,異なる年代に形成された2つの地殻の接合帯であること(志村ほか,2015),2回の変成作用の重複を記録していること(志村ほか,2018)が示された.
 日高変成帯の変成岩類は東から西へ緑色片岩相~グラニュライト相に至るI~IV帯に変成分帯されている(Osanai et al., 1992;Komatsu et al., 1994;小山内ほか、1997など).変成帯北部〜中部のIV帯の変成岩の最高変成条件は870℃,720MPaを示す(Osanai et al., 1992;小山内ほか、1997).変成帯中部〜南部のIV帯の変成岩ではGrtが分解してOpxやCrdができる変成反応から,約500MPで約800℃の温度ピークが示されている(Komatsu et al., 1994).しかし,これらの変成作用の解析は,一回の熱イベントの記録として解釈されており,複数の熱イベントでできた異なる変成帯の接合帯であることを踏まえた再解釈が必要である.
 そこで本研究では,複数回の地殻形成イベントの記録を残すと考えられる日高変成帯南部の幌満地域・ニカンベツ川上流のグラニュライトと,中部の神威岳周辺地域のグラニュライトを対象とした.幌満地域には幌満かんらん岩体と断層関係で,その構造的下位にある変成岩類中にBt-Grt-Opx-Crdグラニュライトが存在する(福田ほか,2023).ニカンベツ川上流には砂泥質岩起源のBt-Grt-Opxグラニュライトが存在する(西谷,2010MS).神威岳周辺地域にはグラニュライト相相当層が3回繰り返しており,Grt-Opx-Crdグラニュライトが存在する(豊島,1981MS).これらグラニュライトとその周辺の岩石を採集し,薄片観察,ジルコンU-Pb年代測定,鉱物化学組成分析などを行った.その結果,以下のことが明らかとなった.
・各地域のグラニュライトに含まれる鉱物の化学組成は次の通り.
ザクロ石の組成  幌満:Prp25~21 Alm69~77 Grs1.8〜2.9 Sps0.8~2
         神威岳:Prp22~27 Alm76〜70 Grs1.7~2.1 Sps1〜1.8
         ニカンベツ川:Prp25~28 Alm64~60 Grs3~4 Sps7〜8
直方輝石の組成 幌満:En57~43 Fs52~56
       神威岳:En51~49 Fs48~51
       ニカンベツ川:En57~49 Fs44~51
長石の組成  幌満:An20~22 Ab79~78
       神威岳:An14~22 Ab76~85
       ニカンベツ川:An43~46 Ab53~56
菫青石のXMg  幌満:0.62-0.66
        神威岳:0.69-0.72
・アポイ岳南方の幌満地域には,37Ma頃の花崗岩に貫入された黒雲母片麻岩・片岩が広く分布するだけでなく,19Ma頃に貫入したシート状トーナル岩中の包有物としてグラニュライトが存在している.
・ニカンベツ川上流には19Ma頃に形成されたグラニュライトが存在する.
・幌満地域・神威岳のグラニュライトでは,Grtが分解し,その周りにOpxとCrdのシンプレクタイトが形成されている.この変成反応から,日高変成帯が記録する800℃程度のピーク温度と圧力低下を記録していると考えられる.

引用文献
福田倫太郎ほか(2023)地質学会要旨.
菅野萌子(2021MS)新潟大学修士論文.
菅野萌子・豊島剛志(2019),JPGU要旨.
Kemp, A.I.S. et al. (2007) Geology , 35 , 807-810.
小松正幸ほか (1982) 岩鉱特別号, 3 , 229-238.
Komatsu M et al. (1994), Lithos, 33, 31-49.
西谷真也(2010MS)新潟大学卒業論文.
小山内康人ほか(1997),地質学論集,47,29-42.
Osanai et al. (1992) J. Metamorphic Geol., 10, 401-414.
志村俊昭ほか(2018)地質学会要旨.
志村俊昭ほか (2015) 地質学会要旨.
豊島剛志(1981MS)新潟大学卒業論文.

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