Presentation Information
[T2-O-2]Development of Indicators for Circumpolar Deep Water (CDW) Inflow Variability in the High Latitudes of the Southern Ocean and Reconstruction of CDW Inflow Variability During the Last Interglacial
*Mutsumi Iizuka1,2, Osamu Seki2, Takuya Itaki1 (1. The National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST), 2. Hokkaido University)
Keywords:
Antarctic Ice Sheet,Southern Ocean,Last Interglacial
過去の温暖期における南極氷床の動態を理解することは、南極氷床の質量損失に伴う将来の海水準変動を予測するための重要な手がかりとなる。これまでの研究では、現在よりも温暖な最終間氷期において、南極氷床が大幅に後退したことが示唆されている。しかし、最終間氷期における大規模な氷床後退の原因については、明らかになっていない。最近の観測によると、大陸棚への暖かい周極深層水(CDW)の流入による棚氷の底面融解が南極氷床の不安定化を引き起こし、氷床後退につながることが示唆されている。しかし、南大洋高緯度域(南緯60º以南)における水塊指標がないため、CDWの侵入の強化が大規模な氷床質量損失の主要因であったかどうかを検証することができていない。そこで、本研究では、水塊の特性と密接に関連している放散虫群集を用いて、新たな周極深層水(CDW)の流入の強弱に関する指標を開発し、CDWの流入強化と南極氷床後退の関連について議論した。まず、南極海高緯度域(南緯60º以南)から採取した表層堆積物とプランクトンネットの放散虫群集を分析し、南大洋高緯度域における水塊ごとの放散虫群集を特定した。さらに、その群集組成を用いて、CDWの流入の強弱を示す指標(radiolarian CDW index)を開発した。先行研究を含めた表層堆積物のradiolarian CDW indexは、現在のCDWの流入の分布と調和的であり、この指標の有用性を示した。さらに、この指標を海底堆積物コアGC1407に適用し、最終間氷期におけるCDW流入の強弱を復元した。その結果、最終間氷期にはCDWの流入が大幅に変動しており、南極氷床後退の時期とCDW流入強化の時期が一致していることがわかった。したがって、南極氷床の後退とCDW流入の強化が関連していることが示唆された。
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