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[T16-O-15][Invited] Exploring Past Oceanic Environments through Radiolarian Fossil Species in the Northwestern Pacific: Implications for Climate Change Studies

*Kenji Marc Raymond Matsuzaki1 (1. Atmosphere and Ocean Research Institute, The University of Tokyo)
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【ハイライト講演】放散虫化石は,代表的な微化石の1つとして年代決定や過去の海洋環境の復元など多岐にわたる研究に利用されている.松崎賢史氏は,太平洋海域における過去1000万年間の放散虫化石群集を解析し,年代層序の構築から地球環境史の復元に至るまで,数多くの重要な研究成果を挙げている.本講演では,松崎氏がこれまで明らかにしてきた放散虫化石を用いた地球環境変動史の総括と,それに基づく気候変動に対する示唆についてご紹介いただく.(ハイライト講演とは...)

Keywords:

Late Cenozoic,Radiolarian Fossils,Paleo Sea Surface Temperature,Cooling Events

放散虫の化石種はこれまで北西太平洋において層序学的な目的で様々な研究が行われてきた。一方で、地球の温暖化は進行しており、北半球の高緯度地域では過去50年間で+2°Cの温暖化が観測され、2100年までにさらに2°Cの増加が予想されている。この温暖化は緯度温度勾配の低下やモンスーンなどを含む大気循環の乱れを引き起こし、世界人口の3分の1に影響を及ぼすと予測されている。これらの影響を防止するための一つの方法は、過去の温暖期の気候や海洋環境、モンスーンの変動を復元し、そのメカニズムを理解することである。この文脈の中で、更新世(260万年前まで)において放散虫種から過去の古表層水温を復元する研究が注目を集め、さらに最近では中新世に遡る過去1000万年間の古表層水温復元に関する研究も行われてきた。過去1000万年間で地球の気候は徐々に寒冷化し、中新世後期の寒冷化(LMGC, 7.8-5.8 Ma)や北半球の氷河化(NHG , 約2.7 Ma)は、この時期に起きた2つの主要な寒冷化イベントである。これらの寒冷化イベントの背後にあるメカニズムをより深く理解することは、将来の地球の気候予測に不可欠である。そこで、本研究では、北西太平洋の中心部に位置するOcean Drilling Program(ODP)サイト1208における放散虫の研究を行なった。このサイトは、北緯36°7.6301´、東経158°12.0952´に位置し、水深3,346mの地点にある。その地層は、石灰質軟泥と石灰質クレイを交互に含む層序で特徴付けられている。この研究では、サイト1208から採取された80の試料を分析し、過去1000万年間にわたる放散虫群集の変化を調査した。その結果、北西太平洋中央部の過去1000万年間の放散虫の生層序を確立した。約48のバイオイベントと13の新しい化石帯を同定し、絶滅種Lithocampe peregrinaの地理分布についても検討した。次に、放散虫化石種に基づいて過去1000万年間の古表層水温を復元した。これには、先行研究で日本海に開発された方程式を適用し、サイト1208での過去1000万年間の過去の古海水温度変動を復元した。さらに、化石種によって復元された古表層水温の妥当性を議論するため、同じサイトで生物地球化学的手法(アルケノン)に基づいて復元された過去の古海水温度と比較した。結果として、過去1000万年間の両者の古氷層水温は同様に変動していたことが明らかになった。しかし、中新世後期の寒冷期(LMGC)や北半球の氷河化期(NHG)の際には、放散虫とアルケノンに基づく古氷層水温の間に最大で3°Cから5°Cの相違を観察した。激しい寒冷期には、放散虫群集のパターンや復元された古氷層水温が亜表層水に強く影響を受けると考えられる。特に冷たい時期には、放散虫に基づく古氷層水温が亜表層水の影響を強く受ける可能性が指摘した。

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