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[T15-O-22]Stratigraphy of the Ryukyu Group in Okinoerabu Jima, Kagoshima Prefecture, Japan★「日本地質学会学生優秀発表賞」受賞★

*Atae TAKEDA1, Shigeaki YAMADA2, Shun CHIYONOBU3, Yoshihiro ASAHARA4, Hideko TAKAYANAGI1, Yasufumi IRYU1 (1. Tohoku University, 2. Kyushu Regional Agricultural Administration Office, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, 3. Akita University, 4. Nagoya University)
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Keywords:

Ryukyu Group,Ryukyu Islands,Quaternary,Okinoerabu Jima

中琉球および南琉球の島々に広く分布する琉球層群は,主に,第四紀更新世にサンゴ礁から陸棚にかけての一帯で堆積した炭酸塩堆積物より構成されている.琉球列島では,琉球層群主部の堆積後(約0.45 Ma以降)に島々が隆起に転じたため,間氷期のみならず氷期に形成された堆積物までもが陸上で観察可能である.このような条件から,琉球列島はサンゴ礁地質を研究するために,理想的なフィールドと評価されている.中でも中琉球の島々では琉球層群が広範囲に分布し,その分布標高は200 mにも達するため,同層群の層序・堆積過程・年代に関する研究が数多く行われてきた.
 中琉球に位置する沖永良部島に分布する琉球層群の層序は野田(1984)およびIryu et al. (1998)によって報告されている.しかし,両研究間には不一致が多い.特に,同層群中部に存在する砂岩の層位学的位置に関する見解が異なっており,同島におけるサンゴ礁形成史(例えば,サンゴ礁が形成された回数)に違いがある.また,Iryu et al. (1998)では,本島東部の地質図が示されておらず,正式な層序記載も行われていない.
 そこで,本研究では,近年の琉球層群の堆積学的・生層序学的研究成果を参照しつつ,沖永良部島全域の琉球層群の層序と年代を明らかにし,その堆積過程を明らかにすることを目的とした.本研究では,地表の露頭に加え,地下ダム建設事業に伴い掘削されたボーリングコア(8本)中の琉球層群の層序も併せて観察した.また,地表およびコア試料の石灰質ナンノ化石年代とSr同位体年代を検討し,堆積年代を決定した.
 沖永良部島の琉球層群の最下位には,著しい陸水性続成作用を被り赤色を帯びた石灰岩から成るサンゴ石灰岩および礫質石灰岩が認められる.この変質石灰岩は,層厚10 m以下で,ボーリングコアにのみ認められる.本島に分布する琉球層群の大部分は,Iryu et al. (1998)の沖永良部島層に相当する堆積物で,本研究では3つのユニットに区分した.最下部のユニット1は,ボーリングコアのみにみられ,主に砂質石灰岩と砕屑性石灰岩よりなり,礫質石灰岩および砂質石灰岩を基質とする礫岩を伴う.本ユニットは,現時点ではボーリングコアでのみ確認されているが,本島の北海岸で基盤岩が急峻な地形を成す湾門浜や内喜名浜に分布する砂礫岩の一部が,本ユニットに含められる可能性がある.ユニット2およびユニット3は,浅海相(サンゴ石灰岩)と沖合相(主に石灰藻球石灰岩と砕屑性石灰岩により構成される)よりなり,石灰岩の累重様式と水平分布から,1回の海水準変動で(低海水準期から海進期を経て高海水準期・海退期までの時期に)形成された堆積体と判断される.ユニット2およびユニット3は,それぞれ,Iryu et al. (1998)の沖永良部島層下部ユニットおよび上部ユニットに対応する.ユニット3堆積時には,海進期初期に大山(現在の沖永良部島の最高所)から非石灰質砕屑物砂岩がもたらされた,これは海岸部から標高125 m付近まで追跡される.ユニット1とユニット2は不整合関係,ユニット2とユニット3は一部整合・一部不整合の関係にある.
 最下位の変質石灰岩からは,1.05 ± 0.40 MaというSr同位体年代が得られた.また,ボーリングコアに見られるユニット1の砂質石灰岩から石灰質ナンノ化石が検出された.その結果,石灰質ナンノ化石の産出層準は,Sato et al. (2009)の基準面5〜3(0.85–0.45 Ma)に対比されることが判明した.この結果に,先行研究の石灰質ナンノ化石生層序の検討結果を併せると,ユニット2は海洋同位体ステージ(MIS)18〜17,ユニット3はMIS16〜17に対比される.MIS16は,中期〜後期更新世で深海底の底生有孔虫δ18O値が最も低く,同δ18O値と海水準に線形の関係を仮定すれば,中期〜後期更新世の中で,最も海水準が低かったと想定することが可能であり,ユニット2とユニット3が沖永良部島の多くの地点で不整合関係にあることが合理的に説明される.なお,MIS16の低海水準期に関連した琉球層群中の不整合関係は,沖縄本島中南部や徳之島でも認められる.ユニット1はMIS19前後の堆積物と推定されるが,礫質堆積物が主体のため,その堆積過程を特定するに至っておらず,海洋同位体ステージとの対応関係に至っていない.
引用文献
Iryu et al., 1998, Spec. Publ. Int. Sed. Ass., no. 25, 197–213.
野田, 1984, 地質雑, 90, 261–270.
Sato et al., 2009, Proc IODP, 303/306.

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