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[T1-P-11]Xenoliths and country rocks of the Ebi Granite from the Mizoguchi area, Japan

*Myu ISOYAMA1, Shunsuke Endo1 (1. Shimane Univ.)
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Keywords:

Ebi granite,Hida belt

はじめに
 大山西麓の江尾花崗岩類(一部が片麻状構造を示す石英閃緑岩~トーナル岩)は,石賀ほか(1989)により発見された片麻岩類とともに飛騨帯構成岩類とされた.このことは複数の研究グループが江尾花崗岩類から新期飛騨花崗岩類に対比しうる前期ジュラ紀のジルコンU-Pb年代を報告したことで確実視された.しかし,江尾花崗岩類の詳しい分布や岩相区分,貫入母岩については依然として未解明である.さらに,最新のKawaguchi et al.(2023)の年代データでは,溝口地域の江尾花崗岩の主岩体がジュラ紀の岩体だけでなく,古期飛騨花崗岩類に対比可能なトリアス紀の岩体を含むことを示唆している.一方で,従来江尾花崗岩類とされた江尾周辺の岩体は古第三紀の山陰帯花崗岩類の可能性がある.これらのことから,江尾花崗岩類は今後の詳しい調査により,その名称を含めて再定義される必要があると思われる.今回,溝口地域の江尾花崗岩類の分布域の調査により,その貫入母岩の可能性がある変成岩類の分布を見出した.さらに片麻状構造の顕著な江尾花崗岩類の岩体内部から捕獲岩(ザクロ石含有片麻岩)を見出した.これらの岩石学的特徴を報告する.
溝口地域の変成岩類
 閃緑岩質~珪長質の片麻岩類と苦鉄質岩が確認された.片麻岩類の露頭にはネットワーク状の緑簾石脈がみられる.片麻岩類は細粒の石英,斜長石,ホルンブレンドで構成され,原岩は明らかではない.苦鉄質岩は粗粒な角閃岩で,主にホルンブレンド,斜長石,磁鉄鉱により構成される.角閃石は粗粒で,大部分が緑色であるが,一部が褐色を呈する.
江尾花崗岩類の捕獲岩
 捕獲岩のザクロ石含有片麻岩は,粗粒の石英と斜長石,苦鉄質鉱物の集合体が片麻状構造をなす岩石である.この捕獲岩中と母岩の江尾花崗岩(石英閃緑岩)にみられる片麻状構造は調和的である.苦鉄質鉱物の集合体は緑泥石,黒雲母,ざくろ石,スピネル,磁鉄鉱,チタン鉄鉱からなる.ざくろ石は0.4-0.1mm程度で,薄層状に広がる細粒のチタン鉄鉱の濃集部に沿うように集合体を形成するほか,孤立した自形粒子としても存在する.ざくろ石は,チタン鉄鉱,磁鉄鉱,スピネル,斜長石を包有し,これらはマトリクスにも存在する.BSE像からざくろ石は明るいコアと暗いリムに区分できる.ざくろ石のコア組成はSps54-43Alm40-48Grs4-5Prp1-3とスぺサルティン成分に富み,昇温累帯構造を保持している.リムではグロシュラー成分が不連続に増加し,Sps44-42Alm44-46Grs9-8Prp3-4の組成をもつ.ざくろ石に包有された斜長石はCaに富みAn79-81の組成をもつ.マトリックス斜長石はAn81からAn39まで広い組成範囲を示すが,ざくろ石リムと接している部分はAn成分が高い.スピネルは亜鉛に富み,その固溶体組成はGhn63-67Hc26-30Spl4-5Glx3である.構成鉱物から鉄アルミナ質な堆積物もしくは火成岩が原岩として想定される.ざくろ石のリム組成とマトリクスの斜長石,黒雲母の組成を組み合わせると,430℃,1.4 kbar前後の温度圧力条件が推定される.以上の観察・分析結果と,西側で大規模な山陰型花崗岩(古第三紀初頭の根雨花崗岩)が貫入し,江尾花崗岩類が顕著な接触変成作用を受けていることを併せて考えると,捕獲岩中でざくろ石などが形成された時期は,山陰型花崗岩の貫入に伴う接触変成作用時である可能性が高い.
文献
石賀ほか(1989)地質雑 95,129-132.Kawaguchi et al. (2023) Gondwana Res. 117, 56-85.

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