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[T1-P-14]Geology of high-grade metamorphic rocks of Hidaka metamorphic belt, Upper Motoura River, Urakawa, Hokkaido, Japan

*Nanami SUGAWARA1, Tsuyoshi TOYOSHIMA1, Rintaro FUKUTA1, Hayato UEDA1, Yasuhito OSANAI2, M. SATISHU-KUMAR1 (1. Niigata University, 2. Kyushu University)
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【ハイライト講演】 北海道日高変成帯では近年,2回の変成・火成作用の痕跡が見出され,形成史の再構築が進められている.講演者らは,日高変成帯最下部の高度変成岩およびトーナル岩マイロナイトについて構造地質学的・岩石学的・年代学的解析を包括的に行い,日高変成帯下部地殻の温度圧力変化と断層運動の時系列を明らかにした.日高変成帯における下部地殻物質の上昇テクトニクスの高分解能化が期待される.(ハイライト講演とは...)
ジルコンU-Pb年代測定が広く行われた結果,約45Ma以降に2回あるいは複数回の変成・火成作用(熱イベント)によって,日高変成帯・日高帯において大陸地殻形成が起こったとされている(Kemp et al., 2007;志村ほか、2015;Takahashi et al., 2021;Yamasaki et al., 2021;菅野・豊島,2019;Kanno et al., 2020、菅野, 2021MSなど).しかし,これら複数回のイベントについては年代論と若干の火成岩についての考察があるものの,ジルコンU-Pb年代測定普及以前の研究成果の再解釈や,個々のイベントの変成作用や変形作用の違いを考慮した上での議論はほとんど行われていない.このため,日高変成帯形成を引き起こした複数回のイベントに関わるテクトニクスや衝突の実体は曖昧なままである.そこで,元浦川上流地域(ニシュオマナイ川から神威岳にかけての地域)において,日高変成帯のグラニュライト・角閃岩・トーナル岩などの変形・変成作用の解析と,それを考慮したジルコン年代測定を開始した.本地域では日高変成帯の高度変成岩・トーナル岩が断層によって複数回繰り返しており(豊島,1981MS,1983MS;馬場,2010MS),日高変成帯の衝突過程や形成テクトニクスに関する新知見が得られると考えたからである.本地域の西端には日高西縁マイロナイト帯であるトーナル岩マイロナイトが分布し,その東側に,トーナル岩・グラニュライト・褐色角閃石角閃岩からなるユニットが断層によって少なくとも3回繰り返している(西から順に,西部ユニット,中部ユニット,神威岳ユニットと呼ぶ).西部ユニットの最下部(西部)はミグマタイト・トーナル岩からなり,西のトーナル岩マイロナイトへと漸移している.神威岳ユニットの多くはグラニュライト・角閃岩を包有するトーナル岩質ミグマタイトである. 本地域の変成岩・トーナル岩の面構造は北東から東に傾斜し,NW-SE〜N-S走向であるが,一部でNE-SW走向を示す.多くの変成岩・トーナル岩の線構造は面構造の傾斜方向にプランジし,同方向の軸を持つ褶曲を伴う.日高西縁マイロナイト帯と中部ユニットの最下部には2方向の線構造が存在する.日高西縁マイロナイト帯では,南西プランジの線構造に重複して,面構造の走向にほぼ平行な線構造が認められ,それぞれ右横ずれ正断層センスと正断層センスの剪断変形を示す.このことから,本地域の日高変成帯西縁において,右横ずれ正断層運動の後に,正断層運動が起こったと考えられる.中部ユニットの最下部には,面構造の走向方向と傾斜方向の線構造が認められ,それぞれ右横ずれセンスと逆断層センスの剪断変形を示す.西部ユニットと中部ユニットの境界断層が非対称構造から見て逆断層であることや,多くの変成岩・トーナル岩の線構造が逆断層センスの剪断変形を示すことから,本地域におけるグラニュライト・角閃岩の繰り返しは,逆断層によって形成され,東西圧縮ないし北東南西圧縮の結果であると考えられる.グラニュライトのザクロ石には正累帯構造・逆累帯構造が認められる.また,西部ユニットと中部ユニットの泥質変成岩には,ザクロ石・珪線石が菫青石・スピネルに置換される変成反応組織が認められた.この反応によって形成された菫青石は傾斜方向の線構造と同時に形成された褶曲によって曲げられている.したがって,ザクロ石の正累帯構造を作る温度上昇の後,圧力低下しながらの温度上昇が起こり,その後に逆断層運動による変成岩・トーナル岩ユニットの上昇と繰り返しが起こったと考えられる. 本地域の西部ユニット下部に見られるグラニュライトのアグマタイトの優白質脈部分から18.6±0.21Maの年代が得られた.これは,アグマタイトの優白脈の形成・貫入年代と考えられる. 引用文献馬場圭太(2010MS)新潟大学卒業論文.菅野萌子・豊島剛志(2019)JpGU要旨.Kanno M et al.(2020)Abstracts of JpGU-AGU.菅野萌子(2021MS)新潟大学修士論文.Kemp, A.I.S. et al. (2007) Geology, 35, 807-810.志村俊昭ほか (2015) 地質学会要旨.Takahashi et al.(2021)Island Arc, 30, Issue1豊島剛志(1981MS)新潟大学卒業論文.豊島剛志(1983MS)新潟大学修士論文.Yamasaki et al.(2021) Geology, 49, 952-957.

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