Presentation Information
[T16-P-5]Radiolarian fossil assemblages from the Tatsunokuchi Formation, distributed from southern Iwate Prefecture to Miyagi Prefecture, Japan
*Takaya ONODERA1, Isao MOTOYAMA1, Mizuho AIZAWA1 (1. Yamagata Univ.)
Keywords:
Radiolaria,Tatsunokuchi Bay,Pliocene,Stichocorys peregrina
竜の口層は中新世末から鮮新世前期に堆積した海成の地層と考えられており,福島県の浜通り地方から宮城県を縦断して岩手県の北上中部帯にかけて分布している.貝化石や岩相から竜の口層の堆積場は水深50 m程度までの浅海だったと考えられている (大槻ほか, 1994).厚さは仙台市では約40 m~60 m,岩沼市では約15 m~30 m,奥州市付近では約40 m~50 mとなっている.主に泥岩やシルト岩,砂岩,凝灰岩から構成されている.竜の口層は多くの動植物化石を産出することで知られている.特に竜の口動物群と呼ばれる貝化石が豊富に産出しているが (Chinzei and Iwasaki, 1967),その他にもクジラの化石やサメの歯化石,珪藻化石,有孔虫化石,花粉化石など様々な種類の化石が産出している.しかしながら,放散虫化石の研究はされていなかった.そこで本研究では鮮新世の内湾や浅海に生息していた放散虫群集の特性を明らかにすることを目的として研究を行った.
これまでに83サンプルの薬品処理,観察を行った.本研究により特徴種としてCyrtocapsella japonica, Dictyocoryne sp., Didymocyrtis penultima, Stylochlamydium venustum, Stichocorys peregrinaなどの産出が認められた.Cyrtocapsella japonicaは前期から中期中新世の年代指標種であるため,再堆積したものと考えられる.Dictyocoryne sp.とStylochlamydium venustumは現生種で表層種であるため,浅海で堆積した竜の口層の堆積環境と矛盾しない.また,Dictyocoryne sp.とDidymocyrtis penultimaは温暖種であり,Stylochlamydium venustumは寒冷種であるため,暖流と寒流の両方の影響が推定される.ただし,温暖種に比べて寒冷種の産出量がわずかだったことから,寒流の影響は限定的だったと考えられる.種数の地理的な分布を見ると,放散虫の種数は,古仙台湾の湾口に近いほうが内湾より多いことが分かった.これは,湾口部では塩分が高く,淡水の影響で内湾は塩分が低いことによると考えられる.Stichocorys peregrinaは古仙台湾の湾奥部では産出せず、ほとんどが湾口部からの産出であった.これは,古仙台湾及び沿岸では暖流の影響を受けて温暖な海洋環境になった時期があるという仲井 (2020) の考察に矛盾しない.
引用文献
Chinzei, K. and Iwasaki, Y. (1967) Paleoecology of shallow sea molluscan fauna in the Neogene deposits of northeast Honshu, Japan. Trans. Proc. Palaeont. Soc. Japan, N.S., No. 67, 93–113.
仲井大智 (2020) 宮城県仙台市に分布する竜の口層(上部中新統―下部鮮新統)から産出した板鰓類化石群集. Bulletin of the Tohoku University Museum, no. 19, 7–20.
大槻憲四郎・根本 潤・長谷川四郎・吉田武義 (1994) 広瀬川流域の地質.仙台市編, 広 瀬 川 流 域 の 自 然 環 境, 仙台環境局, 1‒83.
これまでに83サンプルの薬品処理,観察を行った.本研究により特徴種としてCyrtocapsella japonica, Dictyocoryne sp., Didymocyrtis penultima, Stylochlamydium venustum, Stichocorys peregrinaなどの産出が認められた.Cyrtocapsella japonicaは前期から中期中新世の年代指標種であるため,再堆積したものと考えられる.Dictyocoryne sp.とStylochlamydium venustumは現生種で表層種であるため,浅海で堆積した竜の口層の堆積環境と矛盾しない.また,Dictyocoryne sp.とDidymocyrtis penultimaは温暖種であり,Stylochlamydium venustumは寒冷種であるため,暖流と寒流の両方の影響が推定される.ただし,温暖種に比べて寒冷種の産出量がわずかだったことから,寒流の影響は限定的だったと考えられる.種数の地理的な分布を見ると,放散虫の種数は,古仙台湾の湾口に近いほうが内湾より多いことが分かった.これは,湾口部では塩分が高く,淡水の影響で内湾は塩分が低いことによると考えられる.Stichocorys peregrinaは古仙台湾の湾奥部では産出せず、ほとんどが湾口部からの産出であった.これは,古仙台湾及び沿岸では暖流の影響を受けて温暖な海洋環境になった時期があるという仲井 (2020) の考察に矛盾しない.
引用文献
Chinzei, K. and Iwasaki, Y. (1967) Paleoecology of shallow sea molluscan fauna in the Neogene deposits of northeast Honshu, Japan. Trans. Proc. Palaeont. Soc. Japan, N.S., No. 67, 93–113.
仲井大智 (2020) 宮城県仙台市に分布する竜の口層(上部中新統―下部鮮新統)から産出した板鰓類化石群集. Bulletin of the Tohoku University Museum, no. 19, 7–20.
大槻憲四郎・根本 潤・長谷川四郎・吉田武義 (1994) 広瀬川流域の地質.仙台市編, 広 瀬 川 流 域 の 自 然 環 境, 仙台環境局, 1‒83.
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