Presentation Information
[T16-P-7]Identification of the Carnian-Norian boundary based on conodont and radiolarian biostratigraphy from bedded chart succession in the Mino belt, central Japan
*Mizuki MURAKAMI1, Tetsuji ONOUE1 (1. Kyushu Univ.)
Keywords:
Late Triassic,Carnian-Norian boundary,Conodont,Radiolaria
後期三畳紀のカーニアン/ノーリアン境界(約2億2700万年前)では, 炭素同位体の正の変動に伴うコノドントの属レベルの群集変化や,パンゲア大陸縁辺の広範囲にわたる海洋の無酸素~貧酸素化の痕跡が残されており, その時代境界の認定が近年重要視されている.現在では,ノーリアン基底のGSSP候補地であるイタリアPizzo MondelloセクションとカナダBlack Bear Ridgeセクションにおいて,二枚貝化石種Halobia austriacaの初産出が,GSSPの基準として提案されているが(Hounslow et al.,2021),その初産出の時期が地域間にずれがある等の問題が残されている.またこのような二枚貝化石種は,遠洋性堆積岩からほとんど産出しない為,コノドント化石種Metapolygnathus parvusを基準とするGSSPの認定についても提案されている.
本研究では日本におけるカーニアン/ノーリアン境界の認定を目的として,岐阜県坂祝町の木曽川右岸に露出する美濃帯の上部三畳系層状チャートを対象に,放散虫・コノドント化石層序の検討を行った.採取したチャートは,1 – 3mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を用いて処理し,化石を抽出した(Onoue et al., 2024).
本研究で検討した上部三畳系チャートセクション(層厚約17m)から,11属25種の放散虫化石と,2属8種のコノドント化石が得られた.本セクションのうち,セクション基底から約8.6mから約13.3mの層序区間では,Capnodoce属とTrialatus属の放散虫化石種が共産した.特にCapnodoce anapetesやTrialatus robustusの産出がこの層序区間から確認され, Sugiyama(1997)におけるTR6A放散虫化石帯に比較されると考えられる.コノドント化石層序は,Metapolygnathus属の化石種の産出がカーニアンの最後期を示唆することがPizzo MondelloセクションやBlack Bear Ridgeセクションから報告されている.本研究では,Metapolygnathus parvusの初産出がセクション基底から約11mの層準で認められた.また,Mazza et al.(2009)においてM.parvusより少し若い年代で初産出が記録されているMetapolygnathus communisti Bが約11.2mの位置で,Epigondolella triangularisが約11.3mの位置で初産出を記録した.これらのことから,カーニアン/ノーリアン境界はセクション基底から約11mの層準付近に存在すると結論付けた.しかし,コノドントから定義されたカーニアン/ノーリアン境界の位置には,顕著な放散虫化石群集の変化は認められなかった.今後は,Pizzo MondelloセクションとBlack Bear Ridgeセクションで認められている有機炭素同位体比の正の変動や,酸化還元指標元素を用いた地球化学的検討を行い,多角的データからカーニアン/ノーリアン境界の認定と他地域との対比を進める予定である.
引用文献 :
Sugiyama, K., 1997, Triassic and Lower Jurassic radiolarian biostratigraphy in the siliceous claystone and bedded chert units of the southeastern Mino Terrane, Central Japan. Bull. Mizunami Fossil Mus., 24, 79-193.
Mazza, M. et al., 2009, Genetic turnovers of Carnian/Norian conodonts: Climatic control or competition? Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, 290, 120–137.
Onoue, T. et al., 2024, A dilute sodium hydroxide technique for radiolarian extraction from cherts. Scientific Reports 14, 12831.
Hounslow, M.W. et al., 2021, The case for the Global Stratotype Section and Point (GSSP) for the base of the Norian stage. Albertiana, 46, 25–57.
本研究では日本におけるカーニアン/ノーリアン境界の認定を目的として,岐阜県坂祝町の木曽川右岸に露出する美濃帯の上部三畳系層状チャートを対象に,放散虫・コノドント化石層序の検討を行った.採取したチャートは,1 – 3mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を用いて処理し,化石を抽出した(Onoue et al., 2024).
本研究で検討した上部三畳系チャートセクション(層厚約17m)から,11属25種の放散虫化石と,2属8種のコノドント化石が得られた.本セクションのうち,セクション基底から約8.6mから約13.3mの層序区間では,Capnodoce属とTrialatus属の放散虫化石種が共産した.特にCapnodoce anapetesやTrialatus robustusの産出がこの層序区間から確認され, Sugiyama(1997)におけるTR6A放散虫化石帯に比較されると考えられる.コノドント化石層序は,Metapolygnathus属の化石種の産出がカーニアンの最後期を示唆することがPizzo MondelloセクションやBlack Bear Ridgeセクションから報告されている.本研究では,Metapolygnathus parvusの初産出がセクション基底から約11mの層準で認められた.また,Mazza et al.(2009)においてM.parvusより少し若い年代で初産出が記録されているMetapolygnathus communisti Bが約11.2mの位置で,Epigondolella triangularisが約11.3mの位置で初産出を記録した.これらのことから,カーニアン/ノーリアン境界はセクション基底から約11mの層準付近に存在すると結論付けた.しかし,コノドントから定義されたカーニアン/ノーリアン境界の位置には,顕著な放散虫化石群集の変化は認められなかった.今後は,Pizzo MondelloセクションとBlack Bear Ridgeセクションで認められている有機炭素同位体比の正の変動や,酸化還元指標元素を用いた地球化学的検討を行い,多角的データからカーニアン/ノーリアン境界の認定と他地域との対比を進める予定である.
引用文献 :
Sugiyama, K., 1997, Triassic and Lower Jurassic radiolarian biostratigraphy in the siliceous claystone and bedded chert units of the southeastern Mino Terrane, Central Japan. Bull. Mizunami Fossil Mus., 24, 79-193.
Mazza, M. et al., 2009, Genetic turnovers of Carnian/Norian conodonts: Climatic control or competition? Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, 290, 120–137.
Onoue, T. et al., 2024, A dilute sodium hydroxide technique for radiolarian extraction from cherts. Scientific Reports 14, 12831.
Hounslow, M.W. et al., 2021, The case for the Global Stratotype Section and Point (GSSP) for the base of the Norian stage. Albertiana, 46, 25–57.
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