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[T16-P-11]Effects on the Japan Sea sediments of the evolution of the Monsoon Climate System in Eastern Asia: Implications from Fe and P speciation analyses

*Masato Nosakon1, Saeka Masuda1, Kosei Yamaguchi1, Satoshi Takahashi2 (1. Toho university, 2. Nagoya university)
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Keywords:

Japan Sea,Geochemistry

日本海の泥質堆積物に一般的に見られる数cm〜数十cm厚の明暗互層は、堆積環境の酸化還元状態を反映し、東アジアモンスーン (EAM)の気候変動に駆動されている可能性がある (Tada, 2005)。明暗互層に対する酸化還元状態の変化は、それを反映する鉄とリンのスペシエーション分析によって詳細を追跡できると考えられる。そこで本研究では、2013年夏に統合国際深海掘削計画 (IODP Exp. 346) によって採取された堆積物コア試料を用いて、鉄とリンのスペシエーション分析を実施した。使用したコアは、日本海の北部のSite U1423 (水深1,785m)、秋田沖のU1424 (水深2,808m)、中央部のU1425 (水深1,909m)の三地点で得られたものである。それぞれ、上部2~16m、2~11m、および1~5mのコア深度範囲の堆積物(約2〜28万年前に相当)を対象試料とした。鉄はPoulton et al. (2005)による分画手法、リンはRuttenburg(1992)のSEDEX法を改良した連続抽出法を用いた。それぞれ、鉄を含む5種類の化学種(Feox, Femag, Fecarb, Fepy, FeHCl)とリンを含む5種の化学種(吸着性リンPabs、鉄結合態リンPFe、自生アパタイト態リンPauth、砕屑性リンPdet、有機態リンPorg)に分画し、定量した。
 得られた結果を基に、各堆積層準を、(1) 明色層と暗色層、(2) Rachel et al. (2016)による海水準モデルによる3つの変動範囲 (~40m、40~70m、70m~) 、(3) 鉄とリンの各化学形態別存在量、の観点から、堆積当時の東アジア地域の夏季モンスーン (EASM) と冬季モンスーン (EAWM)の影響の比較検討を試みた。
コアの位置していた3地点の深度範囲において、推定される季節性モンスーンの強度の関係により、4グループに分けた (EASM >> EAWM、EASM > EAWM、EASM < EAWM、EASM << EAWM) 。これらの関係性が現れるタイミングに周期性は見られなかったが、海水準が減少傾向にある氷期MIS3とMIS6において、EAWM > EASMとなる傾向が多く見られた。
以上のように、鉄とリンのスペシエーションの結果と先行研究の示す海水準モデルから、日本海の堆積物に記録された千年〜数万年スケールでのEAMの変化の要素を抽出できる可能性を見出した。本発表では、その予察的なモデルについて発表する。
今回の研究に使用したコア試料の深度範囲がカバーする年代範囲は小さい。今後は、同コアの追加試料の採取や対馬海盆に位置するSite U1430の試料採取を行い、分析の深度範囲と時間解像度を向上させ、議論を進めていく予定である。

参考文献
Poulton, S.W. and Canfield, D.E. (2005) Development of a sequential extraction procedure for iron: implications for iron partitioning in continentally derived particulates. Chemical Geology 214, 209-221.
Ruttenberg, K.C. (1992) Development of a sequential extraction method for different forms of phosphorus in marine sediments. Limnol. Oceanogr. 37, 1460-1482.
Tada, R. (2005) Evolution and variability of Asian Monsoon – its possible linkage with the uplift of Himalaya and Tibet –. Jour. Geol. Soc. Japan 111, 668 – 678.

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