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[G-P-33]Diatom biostratigraphy and paloceanographic reconstruction since the Last Glacial Maximum along the Southeastern Margin of the Japan Sea
*Mika KADONO1, Daisuke KUWANO2, Hitoshi TOMARU1, Fumio AKIBA3 (1. Chiba Univ., 2. Kyoto Univ., 3. Diatom Minilab Akiba, Co. Ltd.)
Keywords:
Japan Sea,Diatom,Paleoceanography,Last Glacial Maximum (LGM),Gas chimney
日本海は浅い海峡を介して外洋と接する半閉鎖的な縁海であり,第四紀後期の全球的な氷河性海水準変動に敏感に応答してきた.特に最終氷期最盛期(LGM)には,海水準低下に伴って対馬暖流の流入が大幅に減少したほか,退氷期には津軽海峡を通じて親潮が日本海へ流入したことが指摘されている(Oba et al., 1991).しかし,珪藻化石分析に基づく先行研究では,特定地点を対象としたものが多く,広域的な海洋環境の地域差を検討した研究は限られている.そこで本研究では,日本海南東縁で採取された堆積物コアについて珪藻化石層序を構築するとともに,珪藻化石群集の変化に基づき,LGM以降の表層海洋環境を復元することを目的とした.対象としたのは,KS-25-8次研究航海で採取された能登半島沖PC2502,隠岐海嶺PC2505およびPC2506である.PC2502とPC2506は対馬暖流の流路上に位置する一方,対馬海峡からの距離が異なるため,両コアの珪藻化石群集を比較することで,日本海南東縁における対馬暖流および親潮の挙動を復元することが可能である.また,PC2505とPC2506の距離は680 m程度しか離れていないが,PC2505はメタンを含む流体の通路となるガスチムニー上,PC2506はその近傍で採取された.メタンの湧出強度の変化が堆積物の保存に及ぼす影響については,これまでほとんど議論されていない.そこで、本研究ではガスチムニーが分布する地点の堆積物コア中の珪藻化石を分析し,その堆積過程を検討した.
観察の結果,PC2502では22試料から33属31種,PC2505では12試料から17属13種,PC2506では31試料から28属24種を同定した.秋葉ほか(2014)の日本海における珪藻化石帯区分に基づくと,PC2502はA帯(現生に近い温暖期)およびB帯(退氷期),PC2505はC帯(LGMを含む寒冷期)のみ,PC2506はA帯からC帯に相当する.とりわけPC2505とPC2506は近接しているにもかかわらず,ガスチムニーの内外で珪藻化石層序の結果が大きく異なっており,PC2505ではコア全体がC帯に相当し,LGMの堆積物が厚く保存されていることが明らかになった.一方,同地点で採取されたアシュラコアAS2505の最表層試料は,現生群集に対応するA帯を示すことから,ガスチムニー上では退氷期以降の堆積物が保存されにくい環境が形成されていた可能性が示唆された.その要因の一つとして,海底からのメタン湧出の活発化や海底近傍のメタンハイドレートの溶解に伴う表層堆積物の崩壊・侵食が考えられる.本研究では,PC2505において連続した層序が確認できなかったため,古海洋環境の復元はPC2502およびPC2506を対象として行った.
PC2506では,LGMにおいて寒冷群集の組成変化が認められ,26–18 kaには低塩分種(Thalassiosira hyperborea,Thalassionema umitakae)が卓越した一方で,16–13 kaで高塩分種(Neodenticula seminae,Thalassiosira nordenskioeldii)の産出が増加した.これらの変化は,親潮系の寒冷な表層水が日本海へ流入したことを反映していると考えられる.また11 ka以降には,Paralia sulcataの減少とThalassionema nitzschioidesの増加がみられたことから,隠岐海嶺周辺の表層海洋環境は東シナ海沿岸水の影響を受けた低塩分環境から,対馬暖流が卓越する高塩分環境へ移行したと考えられる.一方,PC2502ではP. sulcataおよびT. nitzschioidesの顕著な増減は認められなかったことから,能登半島沖では対馬海峡からの距離を反映して東シナ海沿岸水の影響は限定的であり,親潮起源の表層水の影響を受けた比較的高塩分な環境が維持されていたと考えられる.以上のことから,退氷期の隠岐海嶺では東シナ海沿岸水の消長に伴う大きな塩分変動が生じたのに対し,能登半島沖では親潮起源の表層水の影響が継続しており,退氷期の日本海南東縁では南西―北東方向の塩分勾配が存在していたことが示唆される.
【引用文献】
秋葉ほか,2014,石油技術協会誌,79(2),130−139.
Oba et al., 1991, Paleoceanography, 6(4), 499−518.
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