Presentation Information
[T9-P-1]Measurement of Topographic Features and Analysis of Runoff Indices Using Virtual Rivers Generated by a Topographic Change Simulation Tool
*Makoto KAWAMURA1,2, Nariaki NISHIYAMA1, Hua JIA2, Taiki ISHIKAWA2, Yukiko KOIZUMI2 (1. Japan Atomic Energy Agency, 2. Mitsubishi Materials Techno Corp.)
Keywords:
Geological Disposal,River Denudation,Digital Elevation Model (DEM),Topographical Change Simulation,Virtual River,Topographic Metrics,Runoff Indices
【背景・目的】
地層処分の安全評価においては、隆起・侵食に伴う将来の河川下刻等の地形変化が地質環境に及ぼす影響を定量的に評価し、適切に反映することが重要と考えられる。地形変化がもたらす地質環境条件の変化として、地下水の涵養域および流出域の変化が挙げられる。涵養域および流出域の分布は、地形の影響を大きく受けるため地下水の流速および流向を推定する上で重要な要素となり、これは地下水流動解析モデルなどの構築の際に必要なものである。
涵養域・流出域の推定には、降水量や河川流量の実測データを用いて行われるが、地形変化シミュレーションを用いた過去や将来あるいは仮想の地形を対象とする場合、実測が不可能であるため推定が困難である。このことを解決する技術の一つして「数値標高モデルを用いた統計量解析手法による流出量の推定手法」が開発され[1]、東濃地域や実河川で適用され河川流量などの実測データとの整合性についても検証されている[2]、[3]。
一方、地形変化シミュレーションツールとして「地形・処分場深度変遷解析ツール(TARTAN)」が開発されており[4]、既報においてこのツールによる仮想河川と安倍川の流出指標解析結果を比較し、共に上流が流出、中~下流域が涵養傾向となることを報告した[5]。
ここでは、当ツールによる仮想河川と実河川の流出指標解析の比較検討結果と、仮想河川の時間変遷による流出指標解析の時間変遷の試行的な検討結果について報告する。
【実施内容・結果】
既報において、13本の実河川と2本の仮想河川の計15本を対象に河川横断面形状のデータを収集・整理し「平均的斜面形状」を算出したところ、全ての河川においてその形状が比高y(m)、河川中央からの距離をx(m)とするとy = -ax2 + bx +cでフィッティング可能で(決定係数0.9以上)、係数bは斜面傾斜、係数aは斜面の曲率に関連する可能性を示した[6]。係数aとbを比較したところ河川規模は異なるものの熊野川と1本の仮想河川(初期の平坦面から432万年後の最終出力結果)がほぼ同様の平均的斜面形状を示すことが分かった[6](図1左)。
この結果をうけ、熊野川と仮想河川の地形特徴量の計測及び流出指標解析を実施した。仮想河川と熊野川では流路長と流域面積がほぼ1:2に対してDEMの精度が100 mと10 mと規模や精度の差があるが、流出指標解析結果からは両河川とも流出域が河川の本流近傍に分布し、涵養域が流域全体に分散する特徴を示し、矛盾しない結果となった(図1右)。
次いで、試行的に144万年後、324万年後及び432万年後の仮想地形を用い、地形特徴量と流出指標の時間変遷を検討した(図2)。その結果、流域内の標高は時間とともに全体的に高くなり、これに伴い流出指標結果は高標高域が時間経過とともに涵養域(寒色系)から流出域(暖色系)に変遷する様子がみてとれた(図2)。
【まとめ】
本検討による仮想河川と実河川の比較検討からは、河川規模やDEM精度等の違いはあるものの、流出指標解析結果は概ね同様の傾向を示し、互いに矛盾しない結果となることが示された。但し、今回の比較検討は1例だけであるため、今後検討事例を増やす際には精度をそろえた上での比較検討が必要である。
一方、仮想河川を用いた流出指標解析の試行検討の結果、地形特徴量と流出指標は時間経過に伴う大きな差異が認められなかった。このことは、シミュレーションの初期段階(今回の検討においては144万年後)においてある程度地形起伏が形成されていることを示唆する。今後はさらに前の時間の検討も必要になるであろう。
今後も解析・検討の適用事例を増やし、実河川データとの比較を通じて地形変化シミュレーションの妥当性向上のためのフィードバック情報とする。
【参考文献】
[1] 景山ほか;水文・水資源学会誌, vol. 23, 2010, pp. 301-311.
[2] 竹内ほか;JAEA Research 2011-008, 2011.
[3] 西山ほか;日本応用地質学会令和7年度研究発表会, 2025, P47.
[4] 山口ほか;原子力バックエンド研究, vol.27, 2020, pp.72-82.
[5] 川村ほか;日本地質学会第131年学術大会, 2024, T5-P-1.
[6] 川村ほか;日本地質学会第132年学術大会, 2025, T8-P-1.
【謝辞】
本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和7年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地質環境長期安定性総合評価技術開発)」の成果の一部である。
地層処分の安全評価においては、隆起・侵食に伴う将来の河川下刻等の地形変化が地質環境に及ぼす影響を定量的に評価し、適切に反映することが重要と考えられる。地形変化がもたらす地質環境条件の変化として、地下水の涵養域および流出域の変化が挙げられる。涵養域および流出域の分布は、地形の影響を大きく受けるため地下水の流速および流向を推定する上で重要な要素となり、これは地下水流動解析モデルなどの構築の際に必要なものである。
涵養域・流出域の推定には、降水量や河川流量の実測データを用いて行われるが、地形変化シミュレーションを用いた過去や将来あるいは仮想の地形を対象とする場合、実測が不可能であるため推定が困難である。このことを解決する技術の一つして「数値標高モデルを用いた統計量解析手法による流出量の推定手法」が開発され[1]、東濃地域や実河川で適用され河川流量などの実測データとの整合性についても検証されている[2]、[3]。
一方、地形変化シミュレーションツールとして「地形・処分場深度変遷解析ツール(TARTAN)」が開発されており[4]、既報においてこのツールによる仮想河川と安倍川の流出指標解析結果を比較し、共に上流が流出、中~下流域が涵養傾向となることを報告した[5]。
ここでは、当ツールによる仮想河川と実河川の流出指標解析の比較検討結果と、仮想河川の時間変遷による流出指標解析の時間変遷の試行的な検討結果について報告する。
【実施内容・結果】
既報において、13本の実河川と2本の仮想河川の計15本を対象に河川横断面形状のデータを収集・整理し「平均的斜面形状」を算出したところ、全ての河川においてその形状が比高y(m)、河川中央からの距離をx(m)とするとy = -ax2 + bx +cでフィッティング可能で(決定係数0.9以上)、係数bは斜面傾斜、係数aは斜面の曲率に関連する可能性を示した[6]。係数aとbを比較したところ河川規模は異なるものの熊野川と1本の仮想河川(初期の平坦面から432万年後の最終出力結果)がほぼ同様の平均的斜面形状を示すことが分かった[6](図1左)。
この結果をうけ、熊野川と仮想河川の地形特徴量の計測及び流出指標解析を実施した。仮想河川と熊野川では流路長と流域面積がほぼ1:2に対してDEMの精度が100 mと10 mと規模や精度の差があるが、流出指標解析結果からは両河川とも流出域が河川の本流近傍に分布し、涵養域が流域全体に分散する特徴を示し、矛盾しない結果となった(図1右)。
次いで、試行的に144万年後、324万年後及び432万年後の仮想地形を用い、地形特徴量と流出指標の時間変遷を検討した(図2)。その結果、流域内の標高は時間とともに全体的に高くなり、これに伴い流出指標結果は高標高域が時間経過とともに涵養域(寒色系)から流出域(暖色系)に変遷する様子がみてとれた(図2)。
【まとめ】
本検討による仮想河川と実河川の比較検討からは、河川規模やDEM精度等の違いはあるものの、流出指標解析結果は概ね同様の傾向を示し、互いに矛盾しない結果となることが示された。但し、今回の比較検討は1例だけであるため、今後検討事例を増やす際には精度をそろえた上での比較検討が必要である。
一方、仮想河川を用いた流出指標解析の試行検討の結果、地形特徴量と流出指標は時間経過に伴う大きな差異が認められなかった。このことは、シミュレーションの初期段階(今回の検討においては144万年後)においてある程度地形起伏が形成されていることを示唆する。今後はさらに前の時間の検討も必要になるであろう。
今後も解析・検討の適用事例を増やし、実河川データとの比較を通じて地形変化シミュレーションの妥当性向上のためのフィードバック情報とする。
【参考文献】
[1] 景山ほか;水文・水資源学会誌, vol. 23, 2010, pp. 301-311.
[2] 竹内ほか;JAEA Research 2011-008, 2011.
[3] 西山ほか;日本応用地質学会令和7年度研究発表会, 2025, P47.
[4] 山口ほか;原子力バックエンド研究, vol.27, 2020, pp.72-82.
[5] 川村ほか;日本地質学会第131年学術大会, 2024, T5-P-1.
[6] 川村ほか;日本地質学会第132年学術大会, 2025, T8-P-1.
【謝辞】
本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和7年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地質環境長期安定性総合評価技術開発)」の成果の一部である。
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