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[S1-O-1]New views on "Paleozoic world": updates in research frontier and future strategy

*Yukio ISOZAKI1, Harufumi NISHIDA2,3 (1. Dept. Earth Sci. & Astronomy, Univ. Tokyo , 2. Fac. Sci & Tech, Chuo Univ., 3. Patagon Paleobotany Institute)
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Keywords:

Paleozoic,diversification,terrestrialization,global climate change,mass extincton

 顕生代の地史・生命史研究は19世紀以来の大型化石に基づく古典的研究を土台とするが、1970-80年代のプレートテクトニクス的視点の導入や大規模化石データベース構築などに促され、20世紀末にはカンブリア紀爆発や地球外要因による大量絶滅などの新規アイデアを契機に大いに活気付いて今日に至る。顕生代のほぼ前半を占める古生代(539-252 Maまでの約2億9000万年間)は、惑星地球表面に動物と植物が出現・拡散して現在のような多様で複雑な海と陸の生態系が成立した地球史の中でも特異でかつ重要な地質時代であるが、中生代・新生代に比べて残された情報量の少なさという問題があった。
それにも関わらず、21世紀には多くの技術革新に支えられて古生代生命圏で起きた生物進化およびその背景で起きた環境変動は急速に解明されつつある。中でも高精度の年代決定法としてジルコンのU-Pb年代測定の普及、過去の海水および大気の組成・条件を探る多様な化学指標、特にC, O, S, NおよびSr同位体比の測定精度の向上、X線CT化石の微小領域の非破壊分析法の導入、さらに大量のデータに基づくコンパイルおよび多様なモデリング手法開発などによって、従来想定されたものとは大きく異なる古生代の実像が解明されつつある。その中の主要な成果として、1) 原生代末エディアカラ紀・カンブリア紀にかけての長期の(爆発的でない)動物多様化過程、2) カンブリア紀・オルドビス紀にかけての古生代型動物グループの連続的な(段階的ではない)多様化事件、3) オルドビス紀中頃の隕石シャワー事件に始まる古生代後半の長期寒冷化への転換、4) オルドビス紀に始まる陸上植物の急速な多様化事件の詳細過程、5) オルドビス紀・シルル紀での植物を基礎生産者とする陸上生態系成立の詳細過程、6) デボン紀・石炭紀での陸上緑化および魚類/両生類/無脊椎動物の分岐と上陸過程、7) 石炭紀・ペルム紀のグローバル氷河期の実態と生物巨大化、8) Big-5の内の3回の大量絶滅の実態、9) 古生代を通してのグローバル海水準変動・地磁気極性の経年変化・非可逆的大気組成変化などの理解が大きく進んだ(磯﨑編, 2026印刷中;西田・山田編, 2026印刷中)。
日本からの古生代化石産出を初めてNaumannが報告してほぼ1世紀半が過ぎたが、日本列島地殻の中で古生界はほんの数%以下を占めるのみであることを反映してか、その研究報告数は中・新生界のそれに比べて圧倒的に少ない。特に古典的な大型化石研究に代わって微化石研究が盛んになった1970年代からの半世紀の日本では、大型化石の研究者の数が激減した。日本での当該分野の研究活動の指標の一つと言える古生代に関する和文教科書については、1967年刊行の浅野 清ほか編「地史学・上巻」(朝倉書店)以降、本格的なものは半世紀以上出版されていないことがその低調さを反映している。しかし、古生界の分布が極少とはいえ、世界の古生代研究に対する日本発の貢献は潜在的に大きいことを強調したい。これまでも断片的ながら、付加体中の異地性岩塊として含まれる石炭紀―ペルム紀の遠洋深海チャートやホットスポット火山頂部の礁石灰岩について、日本独自の情報を提供してきた。例えば、古生代後半の海洋プランクトン(放散虫)、遊泳動物(コノドント)、底棲生物(フズリナ、サンゴほか)の詳細化石層序、ペルム紀超海洋の酸化還元条件異常(superanoxia)、海洋基礎生産の急増(Kamura事件)、海水Sr比の極小期間(Capitanian minimum)、そして古地磁気層序の特異点(Illawarra Reversal)などの検出である。これらの「失われた海洋の記憶」(Isozaki, 2014)は、欧米の研究者たちが入手できなかった日本固有の貴重な地質学的資産であり、日本人研究者による新視点からのさらなる研究発展が期待される。 本講演に続く複数の発表では、各分野の専門家が、上記トピックスを含む世界の古生代研究の先端と今後の研究展望について解説し、特に日本で可能な独自貢献の可能性を探る。

文献:磯﨑行雄(編)2026 印刷中. 地球生命史シリーズ 第2巻「古生代 I - 動物多様化 海の世界」共立出版; 西田治文・山田敏弘(編)2026 印刷中. 同シリーズ 第3巻「古生代 II -海から陸へ 陸上への進出-」共立出版; Isozaki, Y. (2014) Geoscience Canada, 41, 283-311.

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