Presentation Information
[T4-O-13]Amplification of textural heterogeneity due to Ostwald ripening (OR) and Growth Rate Dispersion (GRD)
*Kazuhiro Miyazaki1 (1. Geological Survey of Japan, AIST)
Keywords:
Ostwald ripening,growth rate dispersion,metamorphic texture,garnet,crystal growth
変成岩の組織は,変形および変成反応の局在化や,水・メルトなどの流体の発生・吸収・輸送経路の形成に重要な役割を果たす.これらの組織は,変成反応に伴う鉱物成長によって形成される.変成鉱物に粒径依存成長(size-dependent growth; SDG)が成り立つ場合,大きな結晶は相対的に速く成長し,小さな結晶は成長が抑制または溶解する.その結果,核形成直後に存在した鉱物の位置や粒径の初期不均一性が時間とともに増幅される.実際,ざくろ石においては,オストワルド成長(Ostwald ripening; OR)による層状構造の発達がその具体例として提案されている(Miyazaki, 1996).しかしながら,界面エネルギーの低減を駆動力とするORは,粒径が数µm以下では高速に進行するが,数100 µm以上では著しく遅くなり,天然の粗粒変成鉱物への適用は限定的である.一方,溶液中の結晶成長では,同一条件下でも結晶ごとに固有の成長速度が存在し,成長速度の大きい結晶ほど大きく成長する成長速度分散(growth rate dispersion; GRD)が広く認識されている(e.g., Srisanga et al., 2015).しかし,変成岩中の鉱物成長においてGRDの存在を直接検討した研究はほとんどない.本研究では,三波川エクロジャイト相泥質片岩(四国・汗見川ルート;Taguchi et al., 2018)および領家グラニュライト相泥質片麻岩(柳井領家;Ikeda, 2002)を対象とし,これらに含まれるざくろ石の粒径と組成累帯構造の関係に基づいて,GRDの可能性を検討する.
GRDの有無を検証するため,試料から粒径の異なるざくろ石結晶を分離し,樹脂包埋後に中心を通る断面を作成した.これを鏡面研磨し,EPMAにより組成累帯構造を取得した.組成累帯構造から等時間面に対応すると考えられる組成マーカーを抽出した.三波川エクロジャイト相泥質片岩中のざくろ石ではMnの累帯構造を,領家グラニュライト相泥質片麻岩中のざくろ石ではP(リン)の累帯構造を用いた.複数の組成タイムマーカーを用いることで,各結晶の成長履歴を再構築した.その結果,粒径の大きなざくろ石ほど一定時間あたりの成長増分が大きいことが明らかとなった.この関係は,粒径数100 µm〜数1,000 µmの範囲で系統的に認められ,界面エネルギー駆動のオストワルド成長では説明が困難である.したがって,本研究で観察されたサイズ依存挙動はGRDの存在を示す直接的な証拠と解釈される.
次に,ざくろ石の結晶成長を過飽和度 σ(t) の時間変化として定式化し,オストワルド成長(OR)とGRDの競合を検討した.計算の結果,核形成後の σ(t) の低下に伴い,ORの臨界半径 r_crがざくろ石の平均粒径 r_meanと同程度となる場合があることが示された.この条件では,小さな結晶が溶解し,大きな結晶が選択的に成長するORが進行する.さらに,ORにより増幅された粒径不均一性が,各結晶の固有な成長速度差としてその後の成長に引き継がれることで,ORによって形成された不均一組織がGRDにより一層増幅されることが明らかとなった.ORの寄与の有無は,時刻 t における粒径と t +Δt における粒径を比較する動力学判別図(Miyazaki et al., 2017)により識別可能である.三波川エクロジャイト相泥質片岩および領家グラニュライト相泥質片麻岩中のざくろ石にこの手法を適用した結果,いずれの試料においてもORとGRDの競合が示唆された.すなわち,ORとGRDの相互作用により組織不均一性が体系的に増幅されたことを示す.
引用文献:Miyazaki (1996) Geochimica et Csomochimica Acta, 60, 277-290; Srisanga et al. (2015) Crystal Growth Design, 15, 2330-2336; Taguchi et al. (2018) Journal of Metamorphic Geology, DOI: 10.1111/jmg.12456; Ikeda (2002) Island Arc, 11, 185-192; Miyazaki et al. (2017) Terra Nova, DOI: 10.1111/ter.12322
GRDの有無を検証するため,試料から粒径の異なるざくろ石結晶を分離し,樹脂包埋後に中心を通る断面を作成した.これを鏡面研磨し,EPMAにより組成累帯構造を取得した.組成累帯構造から等時間面に対応すると考えられる組成マーカーを抽出した.三波川エクロジャイト相泥質片岩中のざくろ石ではMnの累帯構造を,領家グラニュライト相泥質片麻岩中のざくろ石ではP(リン)の累帯構造を用いた.複数の組成タイムマーカーを用いることで,各結晶の成長履歴を再構築した.その結果,粒径の大きなざくろ石ほど一定時間あたりの成長増分が大きいことが明らかとなった.この関係は,粒径数100 µm〜数1,000 µmの範囲で系統的に認められ,界面エネルギー駆動のオストワルド成長では説明が困難である.したがって,本研究で観察されたサイズ依存挙動はGRDの存在を示す直接的な証拠と解釈される.
次に,ざくろ石の結晶成長を過飽和度 σ(t) の時間変化として定式化し,オストワルド成長(OR)とGRDの競合を検討した.計算の結果,核形成後の σ(t) の低下に伴い,ORの臨界半径 r_crがざくろ石の平均粒径 r_meanと同程度となる場合があることが示された.この条件では,小さな結晶が溶解し,大きな結晶が選択的に成長するORが進行する.さらに,ORにより増幅された粒径不均一性が,各結晶の固有な成長速度差としてその後の成長に引き継がれることで,ORによって形成された不均一組織がGRDにより一層増幅されることが明らかとなった.ORの寄与の有無は,時刻 t における粒径と t +Δt における粒径を比較する動力学判別図(Miyazaki et al., 2017)により識別可能である.三波川エクロジャイト相泥質片岩および領家グラニュライト相泥質片麻岩中のざくろ石にこの手法を適用した結果,いずれの試料においてもORとGRDの競合が示唆された.すなわち,ORとGRDの相互作用により組織不均一性が体系的に増幅されたことを示す.
引用文献:Miyazaki (1996) Geochimica et Csomochimica Acta, 60, 277-290; Srisanga et al. (2015) Crystal Growth Design, 15, 2330-2336; Taguchi et al. (2018) Journal of Metamorphic Geology, DOI: 10.1111/jmg.12456; Ikeda (2002) Island Arc, 11, 185-192; Miyazaki et al. (2017) Terra Nova, DOI: 10.1111/ter.12322
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