Presentation Information
[T18-P-12]Paleoenvironmental Reconstruction of the K/Pg Boundary at the Um Sohryngkew River Section, India: Insights from Organic Molecular Analysis
*Naoya TAWARA1, Sarat PHUKAN2, Dipima BORGOHAIN3, Akihiro KANO4, Megumu FUJIBAYASHI5, Ryoko SENDA5, Ryosuke SAITO1 (1. Yamaguchi University, 2. Gauhati University, 3. Indian Institute of Technology Bombay, 4. Tokyo University of Marine Science and Technology, 5. Kyushu University)
Keywords:
End-Cretaceous,Mass extinction,Organic geochemistry,Deccan Traps,Coronene
白亜紀/古第三紀(K/Pg)境界における生物の大量絶滅は環境変動によってもたらされ、海洋における浮遊性有孔虫の激減やアンモナイトの絶滅など生態系を根本から破壊した。環境変動の原因として小惑星衝突(Alvarez et al., 1980)や、インドのデカントラップにおける大規模火山活動(Chenet et al., 2009)が主要因として議論されてきた。
本研究の調査地域であるインドメガラヤ州Um Sohryngkew川セクションはデカントラップから約1000 km離れた場所に位置し、境界層のイリジウム濃集や境界直前での有孔虫の絶滅などK/Pg境界を示す層序的な基準が存在する。デカントラップの火山活動によって膨大な二酸化炭素および硫黄ガスが放出され地球温暖化や海洋酸性化を誘発したと考えられる。このように、デカントラップは小惑星衝突と並んで大量絶滅の主要な引き金となった可能性がある。
本研究の目的は有機分子分析を通じて境界近傍の環境変動を層序的に高解像度で復元していくことにある。高解像度分析により環境変動の順序を明らかにし環境遷移モデルの構築をおこなう。有機分子分析では、多環芳香族炭化水素をはじめとする有機分子を環境変動の指標として評価した。注目すべきは、境界近傍層におけるコロネンインデックスの急激な上昇である。この指標は、燃焼温度の指標とされており(Kaiho et al., 2016)、値の急増は小惑星衝突や大規模火山活動によって引き起こされた有機物の大規模な高温燃焼が発生したことを示唆する。長鎖n-アルカンやカダレンなどの陸上高等植物由来の有機分子が急増していることは陸上植生の広範囲な破壊が発生し、海洋環境へ大量に流入したことを示している。陸上有機物の海洋流入は海洋表層での有機物分解を促進し、海洋の無酸素化を引き起こす可能性がある。また地衣類起源であるジベンゾフランのピークが他の有機分子指標より遅れて出現した。これは環境激変後、地衣類が先駆種として先に繁殖しその後、高等植物が徐々に回復したという大量絶滅後の植生回復プロセスを示唆する。δ13C carbは境界で約-2‰シフトした。これは大量絶滅による植物や光合成物の生物生産の停止・陸源有機物の海洋流入を示唆すると考える。本調査地域の岩石の熱熟成度はn-アルカンやPr/Ph、ホモホパン異性体比などから石油生成の最盛期にあり、有機分子の熱分解が始まらない適切な成熟度であることが分かった。一方でmoretane/ hopaneはその熟成度からは考えにくい高い値であった。この異常な数値は泥炭や酸性化した土壌が海洋に流入した結果だと考えられる(Wang et al., 2007)。
本発表では多角的な検証を行うためにTOC測定とXRD分析に関する議論を加えて展開する。TOCで規格化することで有機物量の変動に対する各分子指標の応答を評価する。また、XRD分析で粘土鉱物を追跡することで火山由来の陸源物質流入のタイミングを検討する。有機分子との層序的ズレを照合することで、指標間の時間差が保存性の違いによるものなのか、あるいは植生崩壊から海洋無酸素化に至るまでの物理的なタイムラグなのかを厳密に検証し、因果関係の連鎖を立証できる。
引用文献 Alvarez, L.W., Alvarez, W., Asaro, F., Michel, H.V. (1980) Science 208, 1095 –1108. Chenet, A.-L., Courtillot, V., Fluteau, F., Gerard, M., Quidelleur, X., Khadri, S.F.R., Subbarao, K.V., Thordarson, T., 2009. J. Geophys. Res. 114, B06103. Kaiho, K., Oshima, N., Adachi, K., Adachi, Y., Mizukami, T., Fujibayashi, M., and Saito, R. (2016) Scientific Reports, v. 6, 28427. Keller, G., Adatte, T., Burns, S.J., Tantawy, A.A. (2002) Palaeogeogr. Palaeoclimatol. Palaeoecol. 187, 35– 60. Self, S., Widdowson, M., Thordarson, T., Jay, A.E. (2006) Earth Planet. Sci. Lett. 248, 518–532. Wang, C. (2007). Organic Geochemistry, 38, 52–66.
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